The Young Poisoner’s Handbook
1994年,イギリス,99分
監督:ベンジャミン・ロス
脚本:ベンジャミン・ロス
撮影:ヒューバート・タクザノブスキー
音楽:ロバート・レーン、フランク・ストローベル
出演:ヒュー・オコナー、アントニー・シェール、ルース・シーン、ロジャー・ロイド・バック
1960年代に家族をはじめとして、多くの人を毒殺した毒殺魔グレアム・ヤングの実話に基づいた物語。
グレアムは幼いことから科学に興味を持ち、14歳のときにニュートンがダイヤモンドを合成したといわれる硫化アンチモンという薬品に出会う。しかしこれは強力な毒にもなる薬品だった。この薬品の魅力にとりつかれた彼は、実験を繰り返しながらより強力でばれにくい毒薬を探して行く。
「毒殺魔」という地味で映画になりにくそうな題材を扱いながら、かなり観客をひき込む魔力を持った映画。物語は淡々と進んでいくのだけれど、観客はどうにもそわそわしてしまう。音楽(選曲)もかなりよい。
話としてはかなりえげつなく、どろどろした話のはずなのに、主人公の淡々としたところと、なぜかほのぼのとした音楽が不思議な魅力。特に音楽のアンバランスさはかなりいい。
なかなか言葉で表現しにくい魅力ですねこの映画は。一言でいってしまえば、すべてひっくるめた全体の雰囲気が好き。映像も時々突っ張ったところがありながら、全体としてはオーソドックス。しかし、神経を逆なでするような効果がかなり入れ込んである。役者もかなり素人くさい人たちなのに、なんとも言えない味がある。いかにも毒殺されそうなキャラクター(どんなじゃ!)というか、絵にかいたようなありふれた人(つまり、実際にはあまりいない)というか、とにかく映画のそわそわ感とはまったく正反対の人たちなわけです。
と、言うわけであまりうまく書けなかったものの、個人的にはかなりつぼに入った映画だったということは伝わったでしょうか? ちょっと「π」にも通じるような感じですね。映画の「味」が似ています。
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