The Hudsucker Proxy 
1994年,アメリカ,111分
監督:ジョエル・コーエン
脚本:イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン、サム・ライミ
撮影:ロジャー・ディーキンス
音楽:カーター・バーウェル
出演:ティム・ロビンス、ポール・ニューマン、ジェニファー・ジェイソン・リー、チャールズ・ダーニング、スティーヴ・ブシェミ

 重役会議中突然、社長がビルの44回から飛び降り自殺。会社の経営は絶好調だったのに、いったいなぜ? このままだと会社が買収されてしまうことに危機を覚えた重役たちは脳タリンを社長にして株価暴落をもくろむことにする。彼等が目をつけたのは、たまたま重役室を訪れた新米郵便係のノービルだった。
 もちろん、重役たちの思うままに行くはずはなく、そこからの展開がコーエン兄弟の腕の見せ所。やはりコーエン兄弟というところも多々あるが、「ファーゴ」や「バートン・フィンク」と比べると少々パンチが弱いかもしれない。
 しかし、それは逆に安心して見られるということでもあるかもしれない。誰でも気軽に楽しめるという意味では良い作品。

 確かに、コーエン兄弟の作品で、コーエン兄弟の映像で、コーエン兄弟のひねりようなんだけれど、どうも弱い。ティム・ロビンス演じるノービルがずっと「まぬけな顔」といわれるところは、『ファーゴ』でブシェミが「変な顔」と言われつづける場面を思い起こさせるし、地下の郵便室の映像なんかは、『バートン・フィンク』のあの暗澹さに似通っている。
 でも、それだけなんですよ。筋だって大体予想がつくし、映像の工夫だって、「ふーん」とは思うけど、驚くほどではない。くすりとするけど、爆笑するわけでも、始終ニタニタしてしまうわけでもない。たとえば、最初の社長が飛び降りるシーンなんて、かなり面白いのだけれど、それはただ単にあの場面が面白いというだけで、作品全体の面白さにはつながってこない。
 どうしたんだろう、コーエン兄弟。おそらくこの映画を評価する人もかなりいると思いますが、私はちょっと納得いかない。いや、面白いんですよ。面白いんですけど、「もっとできるよコーエン兄弟」と言いたい気分にさせます。 やはり、見たのが2回目だったからでしょうか? 1回目見た時はもっと楽しめたような気がします。でも、本当にいい映画は何度見ても楽しめないとな…「ビッグ・リボウスキ」は2回目でもぜんぜん面白かったし。
 などなど、気持ちがプラスとマイナスに行ったり来たりですが、どうでしょうかね? 見た方はぜひ意見をくださいませ。

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