SARA
1997年,ポーランド,112分
監督:マチェイ・シレシツキ
脚本:マチェイ・シレシツキ
撮影:アンジェイ・ラムラウ
音楽:マレク・ステファニケウィック
出演:ボグスワフ・リンダ、アグニェシュカ・ヴォタルチック、チェザーリ・パズラ
特殊部隊の任務を終え、帰宅したレオンは自らの不注意で娘を死なせてしまう。それ以後酒びたりの日々を送っていたレオンに、マフィアから娘サラのボディガードの依頼がきた。
ポーランド版「レオン」と呼ばれるこの作品は、確かに主人公の名前もレオン、マフィアの家には「レオン」のポスターと、「レオン」を意識して作られていることは確かだが、映画としてはまったく別物。レオンほどかっこよくはないが、なんだか温かみのある映画に仕上がっている。
マフィアそして殺し屋、銃弾がバンバン飛んで、人がドンドン死ぬのに、なんとなく温かみのある映画。緊迫する場面よりもなんだか微笑んでしまう場面のほうが多い不思議な映画。なんとなくまとまりはないのだけれど、とにかく監督の映画への愛情が感じられる。
まず、いろいろな映画が映画の中に登場するのがいい。家にはレオンのポスター、食事時にゴットファーザーがテレビで流れていて、それ以外のときでもいつもマフィア映画を見ている。このマフィアがいつもマフィア映画を見ているというシチュエーションも何かの映画で見た気がするけれど、思い出せないなぁ。で、サラとレオンが中華料理屋で踊りだすシーン、あれはおそらく「パルプフィクション」。フレームが一緒だったもの。
こんなものがちらちら出てくるたびににやりとしてしまうのだけれど、他にもニヤリとしてしまうところがかなりある。サラを中絶させようとしているとき、サラの父親が「麻酔は心臓に悪いから」と言う。「そんなばかなぁ」と思うけど、案外、こんな対応のほうが現実なのかもしれないとも思ってしまう。 こんなちょっと間抜けなエピソードのどれもが、いわゆるマフィア映画よりも現実に見えてしまうと言うのがこの映画のすごいところ。だから、普通にマフィア映画のようでいて、ちっともドキドキしないし、けれどもすごく面白い。
ものすごーくヒットしなそうな映画(実際ヒットしなかった)だけれど、私はこういうの非常に好きです。
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