a one & a two
2000年,台湾=日本,173分
監督:エドワード・ヤン
脚本:エドワード・ヤン
撮影:ヤン・ウェイハン
音楽:ベン・カイリー
出演:ウー・ニエンジェン、エレン・ジン、イッセー尾形、ケリー・リー、ジョナサン・チャン
今日はヤンヤンの叔父さんの結婚式。しかし、小学生のヤンヤンはいつものように女の子にいじめられ、結婚式の前には叔父さんの元恋人が殴りこんできたりと大変。そんな中ようやく結婚式を終えて帰ってみると、具合が悪いといって一人家に帰ったおばあさんが病院に運ばれたと近所に人に言われる。
エドワード・ヤンらしい群像劇だが、台湾の裕福な一家族のそれぞれが抱える問題をクロスオーバーさせながらじっくりと味わい深く描いた非常に丁寧さが感じられる作品。
出てくる役者たちがみんないい。日本人プログラマーを演じるイッセー尾形もかなりいい。
本当に丁寧な仕事をする。役者の選定も相当大変だったらしいが、それが感じられるいい配役。ヤンヤンはすごくいい表情を持った子供だし、なんといってもお父さんのNJは素晴らしい。なんだかすごく普通で、しかしうまい。
フレーミングも非常に丁寧で、これ、と決めたフレームでカメラを固定してしっかりと撮る。同じフレームがくりかえしでてくるから、説明がなくても徐々にそれに馴れていく。映った瞬間にどの場所かわかるようになってくるし、オフフレームの部分との位置関係もわかりやすい。居間で窓に向かっているときに左側から声が聞こえたら… とかね。そしてもちろんそのフレームの一つ一つは周到に計算されていて、鏡の置き方とか、壁に貼ってある写真とか、微妙なアンバランス加減がとてもいい。印象的だったのは母親のミンミンが泣いている場面で、ミンミンは画面の右半分を占めていて、背後に鏡があり、聞き手のNJは位置的にはカメラの右隣にいて映っていない。それでその鏡の左端にヤンヤンとティンティンの写真が貼ってある。それは何てことない画なんだけれど、その人物と空間のバランスがすごくいい。同じようなバランスがあったのは、台北のカラオケやでNJが一人カウンターに座って舞台側(カメラ側)を向いている場面。NJは画面の右半分にいて、左側にはカウンターにポツリとイッセー尾形が飲んでいたグラスが置いてある、その間には山盛りのピスタチオ。そんなバランス。
全体的にはエドワード・ヤンもすっかり落ち着いたという感じですが、バランスがよくて、繰り返しになりますが丁寧な映画。これまでの作品の流れから言って落ち着くところに落ち着いたというか、完成された反面、驚きは減ってしまったというか、微妙なところですね。でも、やはりいろいろなプロットを重ねていくストーリーテリングと画面へのこだわりはさすがだなという作品でしたね。
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