Cookie’s Fortune
1999年,アメリカ,118分
監督:ロバート・アルトマン
脚本:アン・ラップ
撮影:栗田豊通
音楽:デヴィッド・A・スチュワート
出演:グレン・クローズ、チャールズ・S・ダットン、リヴ・タイラー、ジュリアン・ムーア、クリス・オドネル

 小さな田舎町、もういい年のウィリスは今日も酒場で酒を飲み、小ビンを一本失敬して、窓から家に侵入。戸棚から銃を取り出し… しかし、そこは大の仲良しクッキーの家。クッキーに銃の手入れをすると約束していたのだった。
 そんなのどかな町に一つの事件が…
 アルトマン流サスペンスコメディ。  アルトマンの作品はいつでもどこでも安心してみることが出来る。わかりやすい筋、適度なスピード、好ましいキャラクター設定、どこをとっても平均以上。アルトマンの作品の中でも平均以上。でも、傑作には…

 どうしてこんなに安心してみていられるのか? 最初からのんびりとしたペースで始まり、しかしそれなりに複雑な筋立てが出来ていき、ちょっと緊迫したりするけれど、結局のところそれがちっとも深刻ではない。グレン・クローズはひとり悪役を引き受けることで、全体はすっとまとまり、なんとなく顔に浮かんでくる微笑に満足しながら最後までそっと見守る。そんな映画。
 やはり、チャールズ・S・ダットンとリヴ・タイラーのコンビがいいのでしょうね。もちろんブルースハープとギターの音も効果的だし、カット割とかも巧妙に計算されているし、光の使い方がすごくきれいだし、それはそれでいいのだけれど、結局この2人の存在感とほのぼの感を後押しするものでしかないような気がする。
 しかし、意外とこの映画は好みに左右されるのかもしれない。このアルトマンのペースがまどろっこしいと思う人も多いかもしれない、本筋と関係ない芝居の話や、芝居のせりふが執拗に挿入されるのにもなじめないかもしれない。しかし、その余分なところがアルトマンの映画には重要で、その余白(では必ずしもないのだけれど)が作り出す転調がアルトマン映画の命。
 ところで、カメラマンの栗田豊通さん、私は知らなかったんですが、ハリウッドで何本かカメラを持ち、昨年は御法度のカメラをやったらしい。それほど際立って美しいとか面白い映像を撮っているわけではないですが、映像が澄んでいる感じで、なかなかいいんじゃないでしょうかねぇ?

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