Himalaya – l’enfance d’un chef
1999年,フランス=ネパール=スイス=イギリス,108分
監督:エリック・ヴァリ
脚本:ナタリー・アズーレ、オリヴィエ・デイザ、ルイ・ガルデル、ジャン=クロード・ギルボー
撮影:エリック・ギシャール、ジャン=ポール・ムリス
音楽:ブリュノ・クーレ
出演:ツェリン・ロンドゥップ、カルマ・ワンギャル、グルゴン・キヤップ

 ネパールのある村、黄金色に輝く麦畑、そこに村のキャラバンが帰ってきた。しかし、先頭のヤクの上には一つの死体が、それは今の頭領で主人公の少年ツェリンの父であった。次の頭領は最も有能な若者カルマにすんなり決まるかと思われたが、長老でツェリンの祖父であるティンレが一人反対する。彼はカルマを息子の仇と見ていたのだった。
 壮大な自然の風景をオールヒマラヤロケで映像化したアドヴェンチャー・ドラマ。本当に映像は美しく、圧倒的な自然の力が迫ってくるようだが、ドラマとしては普通の出来かもしれない。

 結局のところ、舞台がヒマラヤになったというだけで、権力争いのドラマをそのまま移植しただけという気がしてしまう。占いだとか、僧院だとかという要素が出てきて、それが実際のネパールでは非常に重要な要素であるということはわかるのだが、ここではある種オリエンタリズム的なエキゾチックな要素として取り上げられてしまっているような気がして気に入らない。そこにどうにも胡散臭さを感じてしまう。
 実際のネパールの状態はわからないが、あれだけ厳しい自然と対立している世界で一人の人間があれほど大きな権力を握るというのはありえないような気がする。もっと民主的な指導体制があると考えるほうが自然なような気がする。そのあたりがかなり疑問。
 しかし、映像はすごいですね。最初のヤクを下から撮った映像からかなりすごいし、続く麦の黄金色の輝きとか、美しいの一言に尽きるという感じ。空も、湖も青く、ヤクが湖に落ちていくところとかもすごくいいのです。なんとなく空気の透明感が伝わってくるような感覚。それだけ、といっては失礼ですが、最大の見所が映像であることは間違いない。

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