The Green Mile
1999年,アメリカ,188分
監督:フランク・ダラボン
原作:スティーヴン・キング
脚本:フランク・ダラボン
撮影:デヴィッド・タッターサル
音楽:トーマス・ニューマン
出演:トム・ハンクス、デヴィッド・モース、ボニー・ハント、マイケル・クラーク・ダンカン、ハリー・ディーン・スタントン、ゲイリー・シニーズ

 老人ホームで暮らす老人が、一本の映画から60年前1935年の出来事を思い出す。その頃老人は死刑囚監房の看守を勤めていた。そしてある日そこに二人の少女をレイプして殺した巨体の黒人コーフィーが入ってくる。その血なまぐさい犯罪と外見とは裏腹にコーフィーは非常におとなしい男だった。そして彼にはある不思議な力が…
 フランク・タラボンが「ショーシャンクの空に」に続いてスティーヴン・キング作品を映画化。今回は3時間超という長尺。とくに真新しい点はないが、物語としては3時間という時間を感じさせないだけの力はある。

 結局のところ、誰が監督してもこの作品はこの程度の面白さには出来ただろう。この監督のいい点は役者の選択と、あくまで原作を尊重するところだろう。といっても、原作は1巻しか読んでないんですがね… とにかく、スティーヴン・キングの語り口を忠実に再現したという印象。それ以外では、特にメッセージも感じられないし、特筆すべき工夫もない。物語としてもことさら何か意外性があるわけではない。映画としては「ショーシャンク」と比べると格段落ちる。
 この物語はもちろんキリストの原罪と贖罪の物語であって、だからこそコーフィーは死ななきゃならなかったわけだけれど、それならばパーシーを廃人にしてしまったり、ビリーを殺してしまったりしてはいけないような気もする。そのような人たちの罪を背負ってこそキリストなのでは? 私のキリスト理解が間違っているのだろうか? それともこの映画はキリストの物語ではない?などという疑問も生じてしまいます。ポールの長生きすることの解釈もちょっと分かりにくいし、そのあたりの引っかかりがどうしても感動出来なかった理由でしょう。
 やはり、個人的にはスティーヴン・キングは「シャイニング」とか「ミザリー」とか「IT」みたいなおどろおどろしいほうが好き。下手に感動物にしてしまうとなんか落ち着きが悪いですね。ストーリーテラーとして一流ということは分かるけれど、何らかの「ショック」があってこそのスティーヴン・キングであるような気がするので。そういう意味ではこの映画は「ショック」を欠いているのではないかと思うわけです。

2回目の感想

 今回もやはり、キリスト教的善悪二元論というイメージは払拭できませんでした。2人の悪人がいて、他は罪も犯すけど根本的には善人で、その対決という話。しかし、ジョン・コーフィはキリストではないと今回は感じました。奇跡を行う神の使いではあるけれど、小物というか、すべてを背負えるだけの力はないのだという気がしました。それでも映画を見る場面で映写機がの光が後光のように輝くのを見ると、いやでも「神」を意識せずに入られないわけです。死を重要視している点も宗教的なものが感じられるし。

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