Big Trouble
1986年,アメリカ,89分
監督:ジョン・カサヴェテス
脚本:アンドリュー・バーグマン、ウォーレン・ボーグル
撮影:ビル・バトラー
音楽:ビル・コンティ
出演:ピーター・フォーク、アラン・アーキン、ビヴァリー・タンジェロ、ヴァレリー・カーティン

 保険会社に勤めるレナードには、三つ子の息子たちがいる。しかも三人そろって大学へ進学、妻は三人をどうしてもエール大学に行かせたい。でも、レナードの給料ではとても無理。そんなレナードのところに奇妙な保険の依頼が…
 不思議なテンポで進んでいく、シュールなコメディ映画。まさにこれぞB級!といった味わいで、チープさと思い切りのよさが映画中にあふれている。この映画が気にいらない人は、B級映画とは肌が合わないということでしょう…

 最初の三つ子という設定からして不思議で、さらに音楽の才能があってどうしてもエール大学に行かなきゃならないという動機付けもよくわからない。しかし、映画が始まってしまうと、そんなことに疑問をはさませないスピード感を作り出すだけの才能をカサヴェテスは持っている。
 この映画のB級さ加減はすごくいい。金庫のつくりから、テロリストの登場の仕方まで映画のプロット自体が相当B級だが、それよりもどうにも笑ってしまったのが部長をさらって暗い道で止まり、レナードとスチーブ(この字幕もかなりB級)が歩き回る場面で、明らかに照明が人物を追っているところ。真っ暗な道で、人が動くと明るい部分も動くというなんともチープなつくり。現実に似せようという努力はまったく感じられないところがいい。
 というわけで、B級映画のよさを遺憾なく発揮した作品でした。

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