Safe
1995年,アメリカ,119分
監督:トッド・ヘインズ
脚本:トッド・ヘインズ
撮影:アレックス・ネポンニアシー
音楽:エド・トムニー
出演:ジュリアン・ムーア、ザンダー・バークレイ、ピーター・フリードマン
新興住宅地のメイドのいる大きな家に住み、不自由なく生活しているように見えるキャロルだったが、体調不良と疲労感に苛まれていた。夫も心配し医者に行くように勧めるが、医者でも異常なしといわれる。しかし、キャロルの症状は徐々に悪化していく。果たして何が原因なのか…
現代人が抱える精神や周囲の環境といった問題を取りあげた映画。淡々とした内容ではあるが、映像や演出にはかなり細かい神経が行き届いている作品。
これだけドラマがない映画はなかなか難しい。映画のプロットにドラマチックさがかけていると、どうしても映画自体が単調になってしまい、飽きがきて、眠気を誘う。
しかし、この映画は意外と飽きない。特に前半部分はなんとなく不安と好奇心を抱かせる。それは表面に出てくる物語の問題ではなくて、映画自体の作り方から来るのだろう。この映画の前半部分の映像の作り方はかなり変わっている。普通にドラマチックさを表現する場合のつくりからすると不自然なつくりになっている。
具体的には、クロースアップの使われ方がおかしい。普通クロースアップは重要な部分を拡大することによって劇的な効果を生むものだが、この映画ではパーマをかけている頭がクロースアップされたりする。にもかかわらず、映画として重要そうな夫婦の会話などの場面は引きで固定カメラで撮られてしまったりする。このあたりの齟齬感が見ている側の好奇心をそそる。このあたりの映画のつくりがかなりうまいということ。
これらはもちろん化学物質過敏症という原因が明らかになってゆくにつれ謎が解き明かされてゆくので後になってみれば納得がいくのだが、それを知らずに見た時点ではかなり不思議。
というように、前半から中盤にかけてはかなり面白く、映画に引き込まれていくが、終盤になると映画の単調さが少々飽きにつながってくるのが難。結末も決して悪くないので、そのあたりをちょっと絞ってあればかなり面白い映画になったと思います。
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