La Vie de Jesus
1997年,フランス,96分
監督:ブリュット・デュモン
脚本:ブリュット・デュモン
撮影:フィリップ・ヴァン・ルーエ
音楽:リシャール・キュヴィリエ
出演:ダヴィッド・ドゥーシュ、マーショリー・コットレール、ジュヌヴィエーヴ・コットレール
何もせずに仲間とバイクを乗り回す青年フレディ。母と二人暮しだが、仕事を探すこともせず仲間と遊び、恋人のマリーとセックスにふけるばかり。しかしそんなフレディにはてんかんもちであるということや、小鳥を育て、コンクールに出すような一面もあるのだが…
フランスの田舎町を舞台に、そんなフレディと仲間達の日常を淡々と描いたブリュット・デュモンの長編デビュー作。
あまりに淡々としている。その裏にある若者の律動というか、やり場のない怒りというかそのようなものは感じられるが、それ自体は決して新しいものではなく、むしろ露骨な性描写などがわざとらしく感じられる。最近のイギリス映画によくあるような感じというか、それをフランス風にした感じというか、イギリスのたがの外れた明るさのようなものをのぞいてしまった重苦しい雰囲気。その雰囲気自体は悪くないけれど、ちょっと展開がなさ過ぎて退屈する感は否めない。
しかし、この監督のいい点は細部の緻密さで、それが単純に飽きてしまう展開を救う。限られた登場人物と限られた場所で展開されるドラマなので、同じ場所を繰り返し移すことができ、しかも意図的にそうすること(風景のカットをたくさん入れること)によって、観衆にそれを記憶させる。たとえばフレディの家が町並みのどこに位置するのか見ている人がなんとなく分かる。だから、フレディのバイクがいつ横転するのか予測できる。そうすることで映画との距離を縮めることについては非常に巧妙だと思った。
そして、それを少し変えることで、語らずして変化をつけることができる。たとえば5人がいたずらした女の子の親に呼ばれる場面、見ている側はそれがフレディの家だとすぐ分かる。そして、普段とは違うただならぬ雰囲気がすべての状況を物語ってしまう。
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