1967年,日本,91分
監督:鈴木清順
脚本:具流八郎
撮影:長塚一栄
音楽:山本直純
出演:宍戸錠、真理アンヌ、小川万里子、南原宏治
羽田空港に降り立つ男・花田五郎は組織ナンバー3の殺し屋。それを迎えにきた男も以前は殺し屋だったが、いまは酒に手を出しランク外に落ちているという。飯の炊ける匂いをこよなく愛する五郎はその男に持ちかけられた仕事に乗り、ひとりの男を護送する。
というストーリーですが、この映画のストーリーは日活社長が激怒したくらいわけのわからないものなので、気にしてはいけません。この映画に予備知識は要らない。これを見ればきっと「鈴木清順ってなんだろう?」と思うこと請け合い。
この映画は製作当時、あまりにわけがわからず日活社長が激怒し、清順はクビにされたという話や、ジャームッシュやカーウァイらの映画で引用されているという話で有名になっていますが、実際映画を見てみると不思議な感じ。「スタイリッシュ」という言葉で表現されるのはむしろおかしいと思うくらい摩訶不思議な世界。これは決してスタイリッシュではなく、一種の遊びの世界であり、日活の社長がクビにしたのも企業人としてはあたりまえかなという気もします。全く映画で遊んでいるとしか思えないから。しかし、これが数十年後には一種のスタンダード(あくまで一種の、一部のですが)になるとは考えつかなかったでしょう。
映画自体はというと、まず殺し屋の世界にランキングがあるということ自体わけがわからない。そして真理アンヌの存在の位置もよくわからない。もしかしたら本当はそんな女いないんじゃないかと私は思いました。きっとあの女は飯の精、炊き立てのご飯の妖精に違いないと思う。と言い切ってしまうのは、この映画がどんな勝手な解釈も許容するような映画であるから。とにかくやってみたいことをいろいろやって、うまい具合につなげてみて、あとはみんなの解釈に任せるよといういい意味で投げやりな姿勢なわけです。ああまとまらない。
この映画は今年、清順自身によってリメーク(いや、むしろリ・イマージュ)されて公開されます。話によると全然違う映画のそうなので、楽しみ。
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