Things You Can Tell Just By Looking At Her
1999年,アメリカ,110分
監督:ロドリゴ・ガルシア
脚本:ロドリゴ・ガルシア
撮影:エマニュエル・ルベッキ
出演:グレン・クローズ、ホリー・ハンター、キャシー・ベイカー、カリスタ・フロックハート、キャメロン・ディアス
年老いた母親を介護しながら仕事をする医師のキーン、15歳になる一人息子と二人で暮らすローズ、独身を貫きながら不倫相手の子供ができしまった銀行の支店長、瀕死の恋人と暮らすレズビアンの占い師、盲目の妹と二人で暮らす女刑事。
孤独に生活する5人の女たちを描いたオムニバス。監督のロゴリゴ・ガルシアはノーベル賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケスの息子で、これまでカメラマン/批評家として活躍してきた。これが初の脚本・監督作品。
孤独である度合い、それは人との物理的な距離ではなくて、心理的な距離で測るしかない。いくら近くに恋人がいても、その気持ちが近くになければ、孤独が癒されることはない。孤独であることが常に負の力を持っているわけではなく、この映画の主人公達はその孤独を嫌がっているわけではない。むしろ自分から選んだという面ももっている。しかし、その孤独な状態はふとした機会に負のパワーを送ってくる。この映画はそのような瞬間を捉え、その孤独感が宿る瞬間の表情をつかまえる。
この映画は非常に巧妙に構成されている。オムニバスのそれぞれが絡み合ってひとつの話としてまとまる、あるいはなんとなくつながった話になるという方法。それ自体は珍しいものではないけれど、この映画のつなぎ方はうまいと思う。それぞれの主要な登場人物が他のエピソードにも登場するというのはよくある方法だが、ポイントはそれぞれのエピソードをつなぐ一人の人物を登場させるということ。監督のロゴリゴ・ガルシアは「フォー・ルームス」の1編のカメラマンをやっているので、そこからヒントを得たのかもしれない。この映画ですべてのエピソードをつなぐのは、ネイティヴ系(あるいはラテン・アメリカ系)の一人の女性。どのエピソードでも、沈鬱な表情に孤独を湛えて、1カットくらいに登場する(最後は別)。どうしても気付かざるを得ないこの女性の存在が映画をうまくまとめ、全体の「孤独」というテーマを浮かび上がらせる。その使い方はとてもうまい。
その孤独感を浮き上がらせるためかどうかわからないけれど、多用されるクロース・アップはちょっと辟易。いつも映画館は前のほうに座るせいかもしれないけれど、クロース・アップの多い映画はあまり好きではない。クロース・アップのような強い画面はたまに出てくるからこそインパクトがあり、効果的なのであって、何度もでてきてしまうとあまり意味がないと思ってしまう。
細かいところにも配慮が行き届いていい。小さく引っかかるところがたくさんあると、映画は楽しくなります。(盲目の)キャメロン・ディアスが腕時計をしているだけで、その背景にあるいろいろなことを想像できる。そんな小さな引っ掛かりもあって、なかなかよい映画でした。
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