Memento
2000年,アメリカ,113分
監督:クリストファー・ノーラン
原案:ジョナサン・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
撮影:ウォーリー・フィスター
音楽:デヴィッド・ジュリアン
出演:ガイ・ピアース、キャリー・アン・モス、ジョー・パントリアーノ、ジョージャ・フォックス
殺された男とそのポラロイド写真。そこから時間は巻き戻り、ポラロイドを持っている男が殺したことが分かる。その男レナードは前向性健忘で10分以上前の記憶が残らない。そして最後の記憶は妻が殺された場面であり、その殺した男を見つけ出し、復讐するためにポラロイドとメモと体の刺青を記憶代わりにしていた。
時間を逆行してゆくスタイルが新しく、アメリカではリピーターが続出。ロングランヒットとなった作品。確かに見る側も頭を使わざるをえず、2時間はあっと言う間にすぎる。
かなり慎重に、ネタばれを避けながら行きます。この映画の眼目はもちろん謎解きにあります。「記憶喪失の疑似体験」というキャッチコピーのとおり、失われた記憶を取り戻す旅。謎というのはもちろん「妻を殺しなのは誰か」ということ。しかし、その答えは映画の冒頭で「テディ」が殺されたことによって明らかになっているようである。となると、観客が知りたいのは「なぜテディが犯人だとわかったのか?」ということになります。そして、問題となるのはレナードが前向性健忘であること。つまり覚えていられないこと、になるはずです。しかし、本当に問題になるのは別のこと。それはレナードが前向性健忘であること。そしてそうなる前のことを覚えていること、なのです。レナードは映画の途中で「記憶は記録よりあてにならない」といいます。もうこれ以上はいえませんが、見た人には分かるでしょう。
この映画はその途中のどこかで論理と問題点のすりかえがある。それがまた見る側の混迷のどを深めることになるのだと私は思います。具体的に言えば、「なぜテディが犯人だとわかったのか?」という問題から「なぜテディは殺されたのか?」という問題へ。この問題のすりかえを見失わず、注意深く見ればとりあえずこの映画の時間のスパンではちゃんとおさまるところにおさまるのだと思います。
しかし、
!!!!!!!!!!!!!
!!以下ネタばれていく!! 見てない人は絶対読まないでね。
!!!!!!!!!!!!!
まとまっているのはテディの話、つまり「テディはなぜ殺されたのか」という話だけで、根本的な疑問は解決しない。それは「妻を殺したのは誰か」という問題。これには全く解決の道が開けない。むしろ話は混迷のどを深めるだけ。ここがこの映画が「わからない」となる最大の原因なのだと思ういます。
ここからは私の勝手な解釈になりますが、この問題が解決しないのは、この話が本当はもっともっと長いからではないか? 映画が終わるまえに殺されたジ**(伏字)については原因どころか背景も全く説明されない、そしてそれに関わってナ***(伏字)についてもわからない。そして終わり近くのレナードの回想シーンも説明がつかない。これらの説明がつかないことどもはもっと長い物語の先で解決されることではないか、と思います。なので映画としては続編ができる。2作目はジ**(伏字)についての話で、タイトルも決まっています。「メメント-1(マイナス1)」。俺が監督だったら絶対作る。そして、最終的には12時間くらいの完全版を作って観客に勝負を挑んで欲しい。
かなり勝手な想像が膨らみましたが、そういう勝手な想像をだれもがしてしまう映画でしょう。だからヒットする。面白いからいいんです。今日は映画としてどうこうという話はしません。
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