Les Rendez-vous de Paris
1994年,フランス,100分
監督:エリック・ロメール
脚本:エリック・ロメール
撮影:ダイアン・バラティエ
音楽:パスカル・リビエ
出演:クララ・ベラール、アントワーヌ・バズラー、ベネディクト・ロワイアン
エリック・ロメールがパリを舞台に3つの恋を描いたオムニバス作品。
第1話は「7時のランデヴー」。恋人に浮気の疑いを抱いた大学生を描いた作品。第2話は「パリのベンチ」。恋人と一緒に暮らしながら違うタイプの男とデートを重ねる女性の姿を描く。第3話は「母と子 1970年」。ピカソの「母と子」が恋物語を展開させる。
どの話もパリの風景がふんだんに出てきて、ちょっとした旅行気分が味わえる小品たち。
どのエピソードも何か言っているようで何もいっていないような感じ。2番目のエピソードがちょっと毛色が違うような気がするけれど、どれも結局のところ漠然と「恋」というものを描く。一つの映画でひとつの恋を描くのではなく、3つの恋を完全に独立したエピソードで描くことで浮かび上がってくることもある。
単純にひとつの恋を描く映画、これはつまり「恋」をモチーフとしたひとつの単純なドラマを描いているということ。それは単純なひとつのケースとして描きたいことが描けるし、そこから何か恋の全体像が浮かび上がってくる必要はない。
複数の恋をひとつの物語で描く映画、これはおよそ人間関係が複雑であったりして物語として面白くなる。ここではとりあえず「恋」というものに絞って考えるなら、このような複数の恋をひとつの物語で描く映画では概してそれぞれの恋の差異が浮かび上がってくる。それは登場人物が複数の鯉の中からひとつを選んだり、選ばなかったりということがおきるからで、そこで生じる比較が「恋」についての差異を浮かび上がらせてゆく。
複数の恋を複数の物語で描く映画。これはこの『パリのランデヴー』のような映画のことだけれど。この場合、それぞれの恋の関係性は特にないので、あまり比較にはならない。共通点や違いがあったとしても、それが差異として浮かび上がってくるというよりはそれも含めて「恋」の全体像が浮かび上がってくるという感じ。
と、唐突に「恋」に関する映画を分析してしまいましたが、このようなことがいえるのは何も「恋」に限ったことではなく、映画にテーマを読み取るとするならば、そのテーマについて描く描き方一般に言えることだと想います。
だからどうしたというわけでもないですが、パリといえば「恋の街」ということで、そんなことを考えてみた次第であります。
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