Musime si Pomahat
2000年,チェコ,123分
監督:ヤン・フジェベイク
脚本:ペトル・ヤルホフスキー
撮影:ヤン・マリーシュ
音楽:アレシュ・ブジェズィナ
出演:ポレスラフ・ポリーフカ、アンナ・シィシェコヴァー、ヤロスラフ・ドゥシェク、チョンゴル・カッシャイ

 第二次大戦下のチェコ。ユダヤ人で工場を経営するヴィーネル家の家族はナチスに家を接収され、街中に居を移す。そしてさらにポーランドのゲットーへの移住を命じられる。隣に住むチージェク夫妻は彼らの身を案じつつ、彼らを見送るしかなかった。そしてその数年後、そのチージェク夫妻の下に収容所を逃げ出したヴィーネル家の息子ダヴィドがやってくる…
 ナチス-ユダヤをめぐる映画のチェコ版。ストレートに感動させるヒューマンドラマ。『ライフ・イズ・ビューティフル』に感動できた人ならば、きっとはまるはず。

 ストーリーはとても面白いです。プロットもよい。ちなみに、一応解説しますが、ストーリーとは映画全体の物語の流れ、プロットとは映画で描かれるシーンの流れです。ちょっと聞くと同じものであるように聞こえますが、ストーリーというのはプロットでは省かれている物語も含むという点が違います。基本的に映画を作るとき(脚本を書くとき)にはストーリーからプロットを起こす。つまり映画的な展開になるように場面を省いたり足したりする作業をするようです。わかったようなわからないような説明ですが、ストーリーが面白いというと、お話が面白いということ。プロットが面白いというと映画の展開が面白いということという感じでわたしは使い分けています。
 ちょっと映画の基礎知識の話しになってしまいましたが、映画の話に戻って、こういうホロコーストものは、単純なヒューマンストリーではなくて、はらはらどきどきするところがいいですね。誰が敵で誰が味方か、というようなことを感じながら、その展開を見守る。そのスリルを演出するという点ではこの映画は優れているでしょう。
 しかし、それは逆にこの映画を娯楽作品にしてしまっている。チェコでのホロコーストという題材をシリアスに扱っていながら、そこから踏み込むことはせず、スリルと感動を届けるという話に。
 簡単に言ってしまえばリアルではないということでしょうか。これは完全にお話であって、ひとつのリアルな物語ではないということを感じてしまう。というところです。
 でも、面白いには面白い。です。

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