唐山大兄
1971年,香港,100分
監督:ロー・ウェイ
脚本:レイモンド・チョウ
撮影:チェン・チン・チェー
音楽:ジョセフ・クー
出演:ブルース・リー、マリア・イー、ジェームズ・ティエン
チェンは田舎からいとこたちのいる町に出てきた。いとこたちの紹介で彼らと同じ製氷工場で働くことになる。その初日、チェンのミスで氷が割れてしまい、なかから袋が出てきた。それを目にしたいとこのうち二人が、仕事のあと工場長に呼び出され、そのまま姿を消してしまう…
ブルース・リーの香港主演第一作。たいした映画ではない、というか基本的にはB級映画で、それをブルース・リーのために作ったという感じ。なので、見所はブルース・リーのアクションと、B級テイストの両方。
この映画の製作は1971年、実質的にこの映画はTVシリーズの『グリーン・ホーネット』で人気が出たブルース・リーの初主演映画で、ブルース・リーがなくなるのが、1973年だから、ブルース・リーの映画活動というのは実質3年しかないということになる。だからこそ伝説的であるということもいえるけれど、そんな短期間で伝説的なスターとなりえたブルース・リーの原型があるのがこの映画。
この映画は武術指導もブルース・リーがやっているので、まさにブルース・リーの映画である。ブルース・リーが母親との誓いで喧嘩を封印しているというのも、アクションシーンを引っ張って、そこを盛り上げるための戦略。結局は待ちに待ったブルース・リーのアクションというところにすべてが集約する。そのアクションはもちろんすごく、かなりの迫力だけれど、『燃えよドラゴン』で見せる悲壮感というか、哀愁のようなものはない。これは演出の成果、それともブルース・リー自身の演じ方の違いなのかはわからないけれど、ブルース・リーの味のひとつがう弱められるということはある。
しかし、そのために純粋なアクションとして楽しめるということもあるし、B級映画として、全体にコメディテイストが含まれているのにもあっていることは言える。
わたしがこの映画で気に入ったのはむしろこのコメディ的な面で、建物の壁が人型に抜けるところとか、香港映画特有の漫画的なギャグが時々はさまれるのがなかなかいい。
それはわたしがそれほどブルース・リーに思い入れがあるわけではないからで、ブルース・リー・ファンの人からすれば、むしろそういうコメディ的な部分は邪魔なもので、アクションプロパーのブルース・リーの魅力全開!見たいな映画のほうがいいのかもしれませんが、わたしにはこんな変化球な感じのほうがいい。
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