Spy Kids
2001年,アメリカ,88分
監督:ロバート・ロドリゲス
脚本:ロバート・ロドリゲス
撮影:ギレルモ・ナヴァロ
音楽:ダニー・エルフマン
出演:アントニオ・バンデラス、カーラ・グギーノ、アレクサ・ヴェガ、ダリル・サバラ、アラン・カミング
冷戦時代、敵対するスパイとして活躍していたグレゴリオとイングリッドが恋に落ちて結婚、それを機に2人はスパイを引退し2人の子供の子育てに専念していた。しかし、ある日グレゴリオに仲間の行方不明情報が伝わり、彼らを救出する任務につくことを決める。しかし、すぐに敵に捕まり、子供たちにも敵の手が迫るが…
ロバート・ロドリゲスとアントニオ・バンデラスのコンビがファミリー向けスパイアクションを作成。ファミリー向け“007”という雰囲気で、楽しい仕掛けがたくさんある。
基本的には「笑い」が中心にあると思います。といってもコメディというのではなく、「笑いのたえない家庭」みたいな幸せさの象徴みたいな意味での笑い。設定としては近未来という感じで、あのしょぼい番組が人気番組というところを見ると、「笑い」そのものが失われかけている次代なのかもしれません(深読みすぎ)。その中で「笑い」を求めるというのがこの映画がファミリーにヒットする秘密だと思います。
基本的にはロバート・ロドリゲスの凝り性ぶりが面白いわけですが、凝り性から来るのかどうか、反復ネタがなかなかいい。しかも、反復ネタというのは子供にもわかりやすいわけですね。道具がしょぼいとか、バカっていうと怒るとか、そのあたりで笑いを誘うところが非常に良心的だということです。
子供2人ともすっかりハリウッド・スターというか役者ぶりを発揮している感じ。ハリウッドではやはり子供もただの子供ではない。特におねえちゃんのほうは「私は女優」光線がバリバリと出ていました。きっと、ドリュー・バリモアみたいにもと子役としてしっかり女優になっていくことでしょう。「やっぱりヒット・シリーズに出るのがスター女優への近道よ」とか思っているに違いない。
そういう、プロな感じの子供がやるということは、なんか後ろ寒いものもあるけれど、出来上がった作品としては良質のものができるという感じがします。きっと子供が見たら、面白くてしょうがないんでしょう。大人が小ばかにされている感じもいいし。
大人といたしましては、これを楽しめないようでは子供の心を失っているということなんだ、という気になる感じ。この映画はちっとも子供だましではなく、子供向けの映画というだけなので、これをみて「こんな子供だまし」と思ってしまったあなた。「子供の純真な心」を忘れています。
とはいえ、私は子供に純真な心などないと思いますね。純真さを演じるは子供の仕事だから、そうしているだけで、本当は純真でもなんでもないのではないかしら。この映画も最後はハッピーエンドのようで、大人が押し付けたい子供像みたいなものが浮き彫りになっていてなんだか納得がいきません。作品全体の展開からすると、家族が大事というのは自然な話のような気もしますが、それも一時のことという気がします(だから続編が作れるのか?)。
全体的には子供向き。最後は子供に見せていいと親に思わせるために親向きに作ったんじゃないかとかんぐりたくなる終わり方。でも、大人なんてそうやってだませばいいんじゃないの?とも思います。
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