Spider-man
2002年,アメリカ,121分
監督:サム・ライミ
脚本:デヴィッド・コープ、スコット・ローゼンバーグ、アルヴィン・サージェント
撮影:ドン・バージェス
音楽:ダニー・エルフマン
出演:トビー・マグワイア、ウィレム・デフォー、キルステン・ダンスト、ジャームズ・フランコ、J・K・シモンズ、クリス・ロバートソン、ローズマリー・ハリス

科学好きの高校生ピーターは遅刻ばかりするさえない男、6歳のころから想いを寄せる隣に住むメリー・ジェーンにも気持ちを打ち明けることができない。そんなピーターの親友は高名な科学者ノーマン・オズボーンの息子であるハリーだけだった。ピーターはクラスで見学に出かけた大学の研究所で遺伝子組み換えしたクモに咬まれてしまう。そして翌朝起きると、ピーターの体にさまざまな異変が起きていた…

世界中で読まれ、アニメにもなった「スパイダーマン」を現代版として映画化。VFX技術を駆使して、スパイダーマンの超人的なアクションを可能にした。監督は『死霊のはらわた』をはじめとしたホラー映画で知られるサム・ライミ。

原作がアニメだからなのか、それとも監督のキャラクターなのか、エンターテインメントに徹してあまり細部にこだわらないところがいい。こういうアクション映画を撮ろうとするとき、VFXまで駆使してリアルに描こうとしているので、ストーリーテリングの部分までリアルにしたくなるのが人の性というような気もするが、この監督はそんなことはしない。ピーターを咬んだクモがそのあとどうなったとか、スパイダーマンの衣装は何で燃えたり破れたりしないんだとか、そういう瑣末なことにはこだわらず、ただただ観客を楽しませることに専念する。

だから、VFXもそれを見せるために使うのではなく、スパイダーマンやグリーン・ゴブリンにいかに存在としての立体感を出すかというために使われる。アクションの場面でこれ見よがしにスローモーションで見せたりするシーンはあまりない。けれど、まったくないわけではなく、どう考えても『マトリックス』のパロディ(翻案?)という場面もはさまれる。

パロディといえば、単純にアクション映画にするのではなく、奇妙な笑いを挟むのも独特なホラー映画を撮ってきたサム・ライミの感性というような気がする。グリーン・ゴブリンが歌うスパイダーマンの歌とかもあるけれど、ホラー映画を数多く作っているだけに、人が死ぬときにさまざまな工夫がなされているような気がする。そこに感動を入れるのか、笑いを迷い込ませるのか、そのあたりがなかなか考えられているのです。

などということも含めて、何も考えずに楽しめるという意味ではなかなかいいでしょう。子供が見て喜ぶというよりは、結構大人向けの娯楽映画という気がします。もちろん子供でも楽しめるわけですが、子供はたぶんアクションとかかっこよさとかそういうものにとらわれてしまって、皮肉な笑いなんかは見ないと思うのでちょっともったいない。よく言えば、大人でも子供でも楽しめるということになると思いますが、楽しむ以上のものはまったく持って何もありません。

それにはひとつの要素として、これが今後も続編が作られて、これは連続ドラマの第1話みたいな役割をしているというのもあるでしょう。全体像を明らかにして、これからいろいろと発展させていこう見たいな感じ。サム・ライミも最近駄作ばかり作っていたので、このシリーズ化でお金もうけて、自分の好きな売れないどろどろホラーでも作ろうと思ってるのかね?

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