コドモな大人の姿が悲しすぎて笑えない、不完全燃焼のコメディ映画

Step Brothers
2008年,アメリカ,98分
監督:アダム・マッケイ
原案:ウィル・フェレル、アダム・マッケイ、ジョン・C・ライリー
脚本:ウィル・フェレル、アダム・マッケイ
撮影:オリヴァー・ウッド
音楽:ジョン・ブライオン
出演:ウィル・フェレル、ジョン・C・ライリー、メアリー・スティーンバージェン、リチャード・ジェンキンス、アダム・スコット

 40歳にもなって仕事もせずジャンクフードを食べテレビばかり見ているブレナンとデール。その母親と父親が再婚したことからふたりは義兄弟に。その環境の変化を受け容れられないふたりは互いを嫌うが、やがて趣味の一致を見出し“義兄弟”として仲良くやるようになるのだが…
 ウィル・フェレルがジョン・C・ライリーを相棒に迎えたナンセンスコメディ。

 39歳と40歳で仕事もせず家でTVを見てジャンクフードを食べているばかりのブレナンとデール。その母親と父親が再婚したことで、ブレナンがデールの家にやってくるのだが、このふたりが本当に痛々しい。ただ仕事をせずにぶらぶらしているというのではなく、完全にコドモなのだ。やることなすこと考え方から好きなものまですべてがコドモ、見た目はおっさんなのに完全なコドモ、この姿があまりに痛々しい。

 だいたいコメディ映画というのは「こんな奴いねーよ」と思わせながらどこかでそれに近い人は存在しているような気にさせないとそこに笑いは生まれない。この映画の場合、だいの大人が子供みたいなことをしているのを笑えということなのだろうけれど、あまりにコドモすぎて気持ち悪くて笑えない。下ネタのえげつなさもその気持ち悪さを助長する。

 結局キッズ・ムービーでやるのとまったく同じことをおっさんでやったというわけだけれど、果たしてそこに何の意味があるのか。子供なら笑えることも大人じゃあ笑えない。展開としては当然自立の道を歩き始めるということになるのだが遅きに失し、いきなり大人になったふたりを見てデールの父親は「お前たちのよさをなくすな」見たいな事を言うが、本当にそうなのか?

 この作品のもうひとりのキーパーソンはブレナンの弟のデレクだ。若くして成功した彼は文句なしのいやな奴だが、はやく大人になり成功したデレクとブレナンたちの対比には意味がある。そしてデレクの妻アリスがデールにぞっこんになってしまうというところは非常に面白い。価値観というのは人それぞれで気持ち悪い大人コドモを好きになる人もいるわけだ。ここを発展させて行ってそれをブレナンたちの未来につなげたらもう少し納得できる展開になったような気がする。

 90年代の白人ラップのパロディPVとか、ゾンビのパロディなんかを使うところは面白いし、最後には白い鳩が飛ぶ。そんなこんなで笑いどころがないわけではなく、センスもさすがに悪くないと思うのだが、どうも気持ちが悪い。ウィル・フェレルの顔が気持ち悪いのは、自分でネタにしていることからも織り込み済みなのだろうが、やっぱりちょっと…

 ところで、この作品には一昨日の『スモーキング・ハイ』の主演だったセス・ローゲンもちょい役で出演している。セス・ローゲンがウィル・フェレル作品出ることが多いのは、彼らが“ジャド・アパトー・ファミリー”であるからのようだ。下品なナンセンスコメディばかり製作しているこのファミリーの作品は当たりはずれが激しいような気がするが、好きな人にはたまらないのかもしれない。アメリカンコメディ好きな方はジャド・アパトーの名前は要チェックだ。

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