香料の会社を経営するジョエルは妻とのセックスレスに悩んでいた。そんな中、従業員の一人が仕事中に負傷、それに目をつけた詐欺師のシンディが工場で働くようになる。シンディに目を奪われたジョエルは堂々と浮気が出来るように妻が浮気をするように仕向ければいいという悪友の提案にうっかり乗ってしまう…
『ビーバス&バットヘッド』シリーズで知られるマイク・ジャッジ監督のラブ・コメディ。意外とまとも?

 仕事で成功したけれど、家庭生活に悩む中年男の迷いを描いた映画、とでも説明するしかないわけだけれど、とらえどころがないと言うか、笑えるわけでもなければしんみりするわけでもなければ、もちろん人生の教訓になったりするわけでもない。どこにでもあるというわけでもないけれど、まあ珍しい訳ではない人生の一ページを描いたとでも言うべきか。

邦題が『シンディにおまかせ』となっているので、シンディが主人公かと思ったらそう言うわけでもなく、意外と映画に果たす役割は小さい。シンディを演じたミラ・クニス(ソ連出身)は『ブラック・スワン』で重要な役どころを演じたりして注目されており、その彼女が準主役で出演しているということで、それを当て込んでの邦題(DVDの発売は『ブラック・スワン』公開後)ということなんだろう。実際にミラ・クニスの魅力というのはこの映画で一番の見所ともいっていいので、まあいいのかもしれないけれど、その題名のせいでこの映画の散漫な印象がさらに強まった気もする。

詐欺師ものの映画にはずれはないとよく言うけれど、この映画の場合はシンディの詐欺師としての活躍の場が少ないということもあってかまあ「はずれ」と言わざるを得ないような映画になってしまっている。つまらないわけではないけれど、特段面白いとおころもない。

マイク・ジャッジは『ビーバス&バットヘッド』の原作・監督をやり、『キング・オブ・ザ・ヒル』の脚本もかき、アニメ界では結構な曲者という印象なんだけれど、実写映画では98年に『リストラ・マン』という映画を撮り、2006年には『26世紀少年』、そして2009年がこの作品と日本では未公開の3本を撮っているだけでどうにもぱっとしない。

アニメと実写でどうしてこうも違うのかと思いつつ、まあだからどうということもなく、アニメのほうがうまいというだけのことなのかな。

あとはベン・アフレックの変わりっぷりがすごいということくらい。

2009年,アメリカ,88分
監督: マイク・ジャッジ
脚本: マイク・ジャッジ
撮影: ティム・サーステッド
音楽: ジョージ・S・クリントン
出演: J・K・シモンズ、クリスティン・ウィグ、ジェイソン・ベイトマン、ベン・アフレック、ミラ・クニス

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