Monsters. Inc.
2001年,アメリカ,92分
監督:ピート・ドクター
脚本:ダン・ガーソン、アンドリュー・スタントン
音楽:ランディ・ニューマン
出演:ジョン・グッドマン、ビリー・クリスタル、メアリー・ギブス、ジェームズ・コバーン、スティーブ・ブシェミ
子供部屋のクローゼットの扉の向こう側にはモンスターたちの世界がある。モンスター界ではエネルギーとして子供たちの悲鳴が使われるためモンスターズ・インク社ではクローゼットの扉からモンスターを派遣して子供たちの悲鳴を集めている。しかし、モンスターたちは子供に触れられると死んでしまうらしい。そんなある日、会社ナンバー1のモンスターであるサリーはあやまって子供をモンスターシティに引き入れてしまう…
『トイ・ストーリー』『バグズ・ライフ』と同じくディズニーがピクサーと組んで作ったフルCGアニメーション。従来のCGアニメと比べると毛皮の質感の表現が飛躍的に向上、フワフワ感がとてもいい。
エンド・ロールに注目しよう。まず、エンドロールのほぼ全編にわたって流れるNGシーン、香港映画やアメリカのB級映画によくあるおまけだが、もちろんアニメにNGがあるわけもなく、わざわざこのために作られた映像であるわけだ。それにはかなりの費用と時間が掛かる。しかし、本編を作った後で、それを作る作業はとても楽しいものだろう、あーでもない、こーでもないといいながら、笑える演出を探す、そんな楽しい作成現場が目に浮かぶようだ。
さらに、エンドロールの最後のほうに出てくる一文、「No monster was harmed in this motion picture.」という感じの文だったと思うが、これはもちろん普通の(実写)映画で動物虐待をしていないことを断るための一文のパロディだ。こんな人が気付くか気付かないか(そもそもエンドロールを最後まで見る人も少ない)というところまで遊びを加えるその精神に、この映画のすべてが象徴される。
そう、この映画はすべてが遊び心でできていて、楽しく遊ぶためならどんな努力も惜しまない、そんな映画だ。言い古されて言い方でいえば、子供に夢を与えるために、ということだが、そんな言い古された言い方がぴたりとくるような、ウォルト・ディズニーがアニメを作る始めたころの精神がよみがえってくるようなそんな映画だ。
まあ、物語などは単純というか、お決まりというか、あれですが、子供というのは単純な物語をくり返し見ることを好むようなので、この映画は子供にも非常によろしいのではないかと思います。
大人としては、ストーリーがもっと複雑だったらいいのになぁ、とは思うものの、キャラクターのかわいさ(特にブーのしゃべり方や笑い方がなんともいえない)なんかを見て、母性本能だか父性本能だかをくすぐられるもよし、アニメにしてはよくできたアクションシーンを堪能するもよし(わたしはここが一番よかった。ドアのアクションシーンは最高!)、物語のからくりの奥にある現代社会を反映したような不正や巨悪について考えるもよし。単純に癒されるもよしです。
関係ないですが、この映画に出てくるドアって、どうしても「どこでもドア」を思い出してしまう。『ライオン・キング』の『ジャングル大帝』のパクリ方といい、なんだか納得いかないものがありますね。日本はディズニーにとってかなり大きな市場のはずなのに、こんな商売してていいのかね? というディズニーへの反感も(いくらいい映画であるとはいっても)やはりわきます。
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