機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

1988年,日本,126分
監督:富野由悠季
脚本:富野由悠季
撮影:古林一太、奥井敦
音楽:三枝成章
出演:古谷徹、池田修一、鈴置洋孝、榊原良子

 かつてジオン公国で軍を率い、その後地球連邦軍に参加したシャア・アズナブル。そのシャアが巨大な隕石を地球にぶつけ、地球に「核の冬」をもたらそうと計画した。ブライト館長のもとアムロらゴンドベル艦隊の面々はシャアの目論見を破ろうと奮戦する。
 ガンダム―Zガンダム―ZZと続いたオリジナルシリーズの一つの締めくくりとなる作品。シャアとアムロというライバルの戦いの最終章。

 やはりガンダムはガンダム。アムロやシャア、ブライト、ミライというおなじみの人たちが出てくるとそれだけで面白い。そして宇宙でのモビルスーツ戦の映像はまさにモビルスーツ系のアニメの原点です。元祖ガンダムからせい昨年としては10年近くのときが流れ、ガンダムのようなアニメが大量に生産された後でもやはりガンダムはガンダム。他のものとは違う何かを感じます。宇宙空間での戦いのスピード感と、にもかかわらずどのモビルスーツを誰が動かしているのかがすぐにわかるような設定。
 しかし、物語としてはネタが尽きてきたという感じでしょうか。シャアとアムロを中心とする展開だとどうしてもオリジナルのガンダムの物語に引きずられ、似たような話になってしまう。だからこの単発の映画でそれを終わらせたのは正解でしょう。シリーズとして繰り返すとどうしてもマンネリになってしまいますからね。
 ガンダムは面白い。結論はそういうことです。果たしてこれが子供の頃ガンダムを見ていなかった人に当てはまるのかどうかはわかりませんが、私にとってはそういうことなのです。

機動戦士ガンダム3 めぐりあい宇宙篇

1982年,日本,141分
監督:富野喜幸
脚本:星山博之
音楽:渡辺岳夫、松山祐士
出演:古谷徹、鈴置洋孝、古川登志夫、白石冬美

 激しくなるジオン公国と地球連邦軍の戦い。シャア率いるザンジバルとの戦いを逃れたホワイトベースは中立コロニー・サイド6へ。くしくもザンジバルも同じコロニーに寄港していた。ホワイトベースを迎え撃とうとサイド6を取り囲むジオンの艦隊。
戦争に影響を与え始めた「ニュー・タイプ」。果たして勝つのはジオンか連邦か。 TVシリーズ「機動戦士ガンダム」の映画化第3弾。31話から最後までをダイジェストにする形でシナリオを練り直した作品。

 物語は佳境で、様々な人間関係が渦を巻く。シャアとセイラ、ブライト・ミライ・スレッガー、知らない人には何の事やらわからないかもしれませんが、この当たりの人間ドラマがガンダムの真の面白み。終盤はジオン側でもザビ家を中心とした人間関係の相克を見ることもできます。
 しかし、逆に前半と比べるとモビルスーツやモビルアーマーが次々と登場し(特にジオン)、ここのものに対する魅力が減じてしまうかもしれない。その当たりが少々不満ですが、やはり最後ア・バオア・クーでは感動するしかありません。ああ、やっぱりガンダムっていいわ。
 今回見て思ったのは、「ニュー・タイプ」というのはかなり面白い。単なる突然変異なのかもしれないけれど、必ずしも均一に強さではない。ある意味では強度の違う変異が同時的に起きるという異常事態。ブライトは「そんな都合よく人間変われない」というけれど、そんな無頼とが思いを寄せるミライ・ヤシマも少しニュータイプの気があったりするわけです。ララァとアムロを頂点として様々な段階のニュータイプがいる。うーん、不思議。遺伝学的にどうなのだろう、それは。
 未来史の捉え方なども考えつつ、まだまだ物思いにふけることができる。