ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ

Hilary and Jackie
1998年,イギリス,121分
監督:アナンド・タッカー
原作:ヒラリー&ピエール・デュ・プレ
脚本:フランク・コトレル・ボイス
撮影:デヴィッド・ジョンソン
音楽:バーリントン・フェロング
出演:エミリー・ワトソン、レイチェル・グリフィス、ジェームズ・フレイン、デヴィッド・モリセイ、チャールズ・ダンス

 実在のチェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレの生涯を姉妹の関係にスポットを当てて描いた感動作。
 二人の姉妹が海辺で遊ぶ謎めいたシーンから映画は始まる。ヒラリーとジャクリーヌの姉妹は音楽好き、姉のヒラリーはフルート演奏で将来を嘱望され、BBCから出演依頼が来るが、一緒に連れて行ってもらったジャクリーヌは演奏の邪魔をしてしまう。悔しいジャクリーヌはその日から毎日チェロの練習に励むようになった。
 全編にわたって流れるチェロの音色が心に染み入ってくる。映像もさりげない工夫が凝らされていてよい。

 まず、邦題に難ありというところ。「ほんとうの」とかいってしまうとなんだか堅苦しい伝記映画みたいに見える。原題の”Hilary and Jackie”のほうが、映画の内容を端的に表していていいのでは。
 この映画はかなり「いい」と思う。さりげないんだけどよくできた映画。女性チェロを持つと凄くエロティックだし、魅力的に見えると前から思ってはいたのだけれど、この映画を見てかなり実感。特に、黒いバックで全身(ドレスの色が変わってゆく)と手のアップを交互に映し出してゆく場面が印象的。ダニエルとジャッキーが初めて出会ったパーティーで協奏するシーンも非常に良かった。
 あまり期待していなかっただけに、思わぬ収穫でした。