1999年,日本,75分
監督:塩田明彦
脚本:塩田明彦
撮影:鈴木一博
音楽:岸野雄一
出演:鈴木雄作、水野真吾、芳賀優里亜、堀広子、松本きょうじ、若菜江里
小学校5年生になったばかりの子供から少年へと移り行く少年たちの物語。そこには友情や家族や世間や恋愛といった大人とまったく同じ問題が存在しているのだけれど、大人たちにはそれが問題とすら思われていないような、そんな年頃の子供たち。
この作品は彼らの日常をほほえましくも、緊張感のあるタッチで描いている。誰もが(男だけ?)「ああ、こんなことがあったよな」と思ってしまう平凡な日常と少年たちにとっては大事件の数々。文字にしてしまえばしまうほどつまらなくなってしまう。大人の言葉に直してしまったら、まったく面白みは伝わらない。そんな映画なのかもしれない。
全体的にはありきたりというか平凡というか凡庸な映画だが、ところどころにきらりと光るものがあった。たとえば、野村が死んでしまったあとに展覧会で展示されていた絵だとか、アキラがジャンプしながら空中に向かってキックする場面とか、「花火銃」とか。そういった、はっとさせられるような場面があるだけでこの映画には価値があると思う。
そんなはっとする場面を演出しているのは、映画の自然さではないだろうか?「なんか見たことある」と感じてしまう団地の風景、不自然なほどにつるんでいる小学生の自然さ、団地等閉じられたコミュニティにありがちな人間関係、そんななんでもないことがなんでもなく描かれている。それがこの映画のよさなのかもしれない。
とにかく、野村の絵とラストシーンはよかった。
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