1997年,日本,109分
監督:青山真治
脚本:青山真治
撮影:石井勲
音楽:山田勲生
出演:石橋凌、鈴木一真、遠山景織子、永島暎子、諏訪太郎
「Helpless」や「Shady Glove」の青山真治監督の作品。石橋凌演じる刑事が新興宗教幹部を撃ち殺した犯人(柳ユーレイ)に肩を打たれるところから物語が始まる。打たれて意識を失っているあいだに紛失してしまった拳銃を手に入れた男(鈴木真一)とその恋人(遠山景織子)とのあいだに奇妙な関係が成立してゆく。
この作品は、単なるバイオレンスというよりは、サイコサスペンス的な要素を取り入れ、精神的な要素を物語を展開していく上での大きなファクターとしている。映像は美しく、造りもかなりこっているが、私の好みにはあまりあわなかった。
オウム事件の影響を受け、それを題材に現代を切ろうとしていることはわかるが、どうも技巧に走りすぎのような気がする。さまざまな音を使って聴衆の心理を操作しようとする意図はわかるが、あまりそこにリアルさが感じられない。登場人物たちも難解そうな台詞をはくが、単なる言葉遊びに過ぎず、哲学が感じられない。台詞だけが上滑りしている感じがしてしまう。
ただ、石橋凌はいい演技を見せてくれる。遠山景織子が物語から少し浮いてしまったのが残念。
映像はきれいで、物語の展開にもスリルがあり、見ていて飽きることはなかったが、それぞれのエピソードのあいだの繋がりがよく見えてこなかった。
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