Gazon Maudit
1994年,フランス,105分
監督:ジョジアーヌ・バラスコ
脚本:ジョジアーヌ・バラスコ
撮影:ジェラール・ド・バティスタ
音楽:マヌエル・マロウ
出演:ジョジアーヌ・バラスコ、ヴィクトリア・アブリル、アラン・シャバ、ティッキー・オルガド、ミゲル・ボゼ

 不動産会社に勤める夫と元ダンサーの妻ロリ、円満なはずの家庭にやってきた一人の女マリジョ。レズビアンの彼女はロリに魅せられ彼女を誘惑する。夫の浮気も発覚し、3人の関係はどんどん複雑に。いかにもフランスらしいシニカルな恋愛コメディ。 3人それぞれの複雑な心理の変化が克明に描かれ、単なるコメディとはいえない、人間ドラマに仕上がっている。映画手法として目新しいものはないが、非常にストレートな作り方をしているので、言わんとしていることもストレートに伝わってきて好感が持てる。 

 この映画の素晴らしいところは、登場人物たちの心理が画一化されていないこと。好き-嫌い、同性愛-異性愛、という二項対立にこだわらずに、人間対人間の関係から生じる内的な葛藤を、「人間」の問題として描いていることだろう。人間の心理ってこんなに複雑なものなんだ、と気づかされる。葛藤、葛藤、また葛藤。
 しかし、最後にゲイの彼が登場してくるところを見ると、「愛は盲目」、人間とは懲りない生き物。問題を真面目に扱うんだけれど、決して深刻にはならずに、「コメディ」として作り上げたところが素晴らしい。 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です