A Brighter Summer Day
1992年,台湾,237分
監督:エドワード・ヤン
脚本:エドワード・ヤン、ヤン・ホンカー、ヤン・シュンチン、ライ・ミンタン
撮影:チャン・ホイゴン
出演:チャン・チェン、リサ・ヤン、チャン・クォチュー、エレン・チン、リン・ルーピン
1961年の台湾、戦後の混乱の中、台北の町では不良少年たちが組を作って抗争を繰り広げていた。上海から移住してきたばかりの一家の息子で夜間中学に通うスーを中心に物語は展開してゆく。中学生らしい淡い恋や少年らしい生活と、そんな安穏とした生活を許さない周囲の環境の間でスーは混乱し、成長してゆく。
スーと少年たちの物語とスーの家族の物語とが複雑に入り組み、かなりストーリーをおっていくのは大変だが、4時間という長さを押し切ってしまうだけの力はある作品。体調と時間に余裕があるときにご覧ください。
これはすごい映画かもしれない。時代性というか、この時代の台湾の空気感が伝わってくるような映画。革命によって成立した中華人民共和国と、台湾に逃れた国民政府。スーの一家もまた台湾に逃れた。しかし彼らはそこでは新参者でしかなく、スーの父は危うい立場にある。
様々な場面や様々なことが頭に残ってはいるのだけれど、それを総体化することができない。4時間の映画の中に4時間分、とまではいわないにしても3時間分くらいはしっかりと中身が詰め込まれ、それらをひとつの映画として受け入れるにはかなりの覚悟がいるのだろう。
たとえば懐中電灯の持つ象徴性。ミンという人物の持つ意味。マーの孤独。バスケットボール。
そのような事々が未消化の塊のまま頭の中に鎮座している。それを解きほぐし、丸のまま受け止めることができた時、この映画の本当のよさを感じ取れるのだろう。体調なんかによっても印象が変わってしまうのが映画というもの。誰かが言っていたが「映画というのは生もの」なので、この作品はいつかどこかでもう一度(できれば劇場で)見てみたい。
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