The Fly
1958年,アメリカ,94分
監督:カート・ニューマン
原作:ジョルジュ・ランジュラン
脚本:ジェーズム・クラヴェル
撮影:カート・ストラス
音楽:ポール・ソーテル
出演:アル・ヘディソン、パトリシア・オーウェンズ、ヴィンセント・プライス、ハーバート・マーシャル

 ある夜、フランシスのもとに弟アンドレの妻エレーヌから「アンドレを殺した」という電話がかかってくる。その直後、工場の夜警からも「プレス機のところで人が死んでいる」という電話が。警察とともに駆けつけてみると、それは紛れもなく弟の死体だった。エレーヌは「アンドレを殺した」というばかりで動機を話そうとしない。その裏にはアンドレの行っていた実験の秘密が隠されていた…
 ジョルジュ・ランジュランの原作を映画化したSFホラーの古典的名作。このあと続編が2本作られたほか、クローネンバーグによって「ザ・フライ」としてリメイクもされた作品。

 とりあえず、発想が素晴らしい。それは原作のおかげであり、だからこそリメイクまでされたのだろうけれど、なんと言っても、事件の顛末をまず先に語ってしまうという私が勝手に「コロンボスタイル」と呼んでいるやり方がホラー映画らしくなくていい。ホラー映画というのは普通、恐怖のもとがなんだかわからず、「なんだ?なんだ?」っていうので怖さをあおるものなのに、この映画はまったく違う。そしていわゆるホラー映画的な怖さはない。むしろ一つ一つの謎が解かれていくというミステリーのような感覚がある。
 ハエ男のメイクとか、機械装置なんかはもちろん今見ればお粗末な代物だけれど、こういったSF映画というのはその当時の最先端を用いたもの(多分)であるので、その時代の発想を知ることができて面白い。この時代のSFを見ていつも思うのは、前にも書いたかもしれないけれど、「デジタル」という発想の欠如。タイマーなんかも全部アナログで時計の針みたいのをジジジとまわしてセットする。これを私は勝手に「サンダーバード時代のSF」と呼んでいるのだけれど、意外と面白いSF作品が多いのです。
 あとは、アンドレの家にかかっていたモジリアーニの絵がなんとなく印象的でした。

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