2000年,日本,74分
監督:古本恭一
原作:坂口安吾
脚本:古本恭一
撮影:三本木久城
音楽:野口真紀
出演:古本恭一、高井純子、平出龍男、小林康雄
タクシードライバーの矢島は、妻の交通事故で二人の娘を失い、妻自身も入院してしまった。妻の退院が間近というある日、妻が延滞していた図書館の本から数字が書かれたメモのようなものが出てきた。
カラーとモノクロの映像が混在し、中心となる物語に、ラジオから流れてくる原発事故のニュースが挟み込まれる。淡々とした展開ながら、様々な要素が織り込まれ、見ごたえのある作品になっている。
2000年ぴあフィルムフェスティバル審査員特別賞を受賞した自主制作映画。
まず、プロットがとてもよく、映画に入り込むことができた。とにかく、自主制作映画と思ってみているから、どうしても見下すというか、批評してやろうという気になってみてしまうけれど、ストーリーテリングが巧妙でそんな者に構えた態度を払拭してくれるくらいの力があった。
モノクロとカラーの映像の混在も、特にどういう意味があるというわけではないのだけれど、静と動、緩急つけるという効果はあったと思う。出演している役者たちもなかなか達者で、「十分いけるじゃん」という感想でした。
ひとつ難点を挙げるなら、音楽や音響効果が単調になってしまったこと。映像やプロットにはかなり強弱があり、緩急がついているのに、使われている音楽が全体に似たトーンで(一度だけ、図書館でロック系の音楽が使われてはいるが)ちょっとだれるというか間延びするというか、そんな感じになってしまったような印象。
しかし、全体的にはかなりいいです。
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