1999年,日本,95分
監督:黒沢清
脚本:黒沢清
撮影:柴主高秀
音楽:相馬大
出演:武田真治、唯野未歩子、安井豊、松本正道
舞台は2005年、場所はおそらく東京近郊。恋人同士であるハルとミチ。ハルは音楽を作っているらしく、ミチは郵便局のようなところで働いている。すべてが無機質で暴力があたりまえのように行われている世界。しかし血なまぐさいわけではない世界。
脈略のない、しかし断片では決してない物語と、ロングショットの映像。ある意味では新たな映像世界を切り開いたと言えるのだろうけれど、なかなか消化しきれない作品。
大体言いたいことはわかる。でも面白くないんだこの映画は。しばらく時間を置いたらまた見たくなるような気もするけれど、いわゆる「面白い」映画ではないし、芸術的あるいは哲学的な映画でもない。だからと言って見たのが時間の無駄だったという種類の映画ではなくて、あとからじんわり「ん?」「んん?」という感じでボワボワしたものが頭の中に浮かんでくる感じ。それが何なのかはわからないけれど、黒沢清が徹底的に描いている「怖さ」にとっての根源的な何かであるような気もする。
かなり言葉に詰まりますが、この映画の怖さというのは、いわゆる近未来に対する恐怖のようなもの(花粉症が例ですね)でもあり、もっと何か根源的なものでもあるような気がする。それが何かは漠として捉えられないのだけれど、その漠としているところはこの映画の製作意図でもあるだろうから、そのまま、漠然としたまま受け取っておいたほうがいいのでしょう。
などと、終わって考えてみると、いろいろ浮かんでくるんですが、見ているうちはけっこう眠い。セリフなしで固定カメラのロングショットが何分も続いたりするから仕方がないことなんだけれど、まあ少々寝てしまっても映画の全体像を捉えるのに支障はないのでいいでしょう。ウトウトしながら2回連続とかで見てみると意外といいのかも知れない、などと勝手なことを思ったりする。
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