Midnight Run
1988年,アメリカ,126分
監督:マーティン・ブレスト
脚本:ジョージ・ギャロ
撮影:ドナルド・ソーリン
音楽:ダニー・エルフマン
出演:ロバート・デ・ニーロ、チャールズ・グローディン、ヤフェット・コットー、ジョン・アシュトン

 ロサンゼルスに住む元刑事の賞金稼ぎジャックは保釈金保険業者のエディの依頼で容疑者を捕まえいている。今回は、マフィアの金を横領し、福祉団体に寄付した会計士のジョナサン“デューク”マーデュカスがターゲット。ジャックはマフィアとFBIの裏をかき、さっさとNYでデュークを確保したのだが…
 適度な笑いとアクションをちりばめた、ロード・ムーヴィーの傑作。物語のプロットが非常にうまく練られていて、一度見始めたらとまらない映画に仕上がっている。

 このころのデ・ニーロも好きだし、こういったおおらかな感じのアクション映画も好き。適度に笑いがあるほうがいいし、ロードムーヴィーは大好き。ということで、個人的な好みとしては最高!
 ですが、それは置いておいて、少々分析してみましょう。まず優れているのはプロット。話自体はそれほどひねっていないのだけれど、ジャックとジョンの関係に加え、マフィア、FBI、マーヴィン、エディ、ジャックの元妻と娘、がしっかりと話の縦糸に織り込まれ、うまくかみ合っている。どの要素もおまけのエピソードというふうにはならず、何らかの形で作品を引っ張っていく。だから、よく考えてみれば単純なストーリーを単純に感じさせずに最後まで押し切ることが出来ているのだろう。
 そして、それを非常に素直に撮影しているのだが、何せ登場人物が多いし、話の流れがいくつもあるので、次のシーンがどんなシーンなのか予想がつかないというのがいい。この映画ではシーンとシーンが1カットでつながっていることが多い。つまり、ひとつのシーンの最後のカットと次のシーンの最初のカットをひとつのカットでまとめてしまうということ。
 例えば、最後のほうで、トニーたちがジョンを連れてホテルに入っていくシーンで、トニーがホテルの中に入ったあと、カメラがパンすると、張り込んでいるFBIが移って、そこでカットが切れて、FBIのモーズリーのシーンになる。こんな感じ。
 これがどうと言う訳ではないんですが、こういう地味な工夫が物語りのスムーズな流れを生み出しているんではないかと思ったわけです。
 ちなみに、監督のマーティン・ブレストは「ビバリー・ヒルズ・コップ」の監督でもあるので、こういったアクション・コメディはお手の物という感じですね。
 さらにちなみに、脚本を書いているジョージ・ギャロはこの映画のヒットに気をよくし、”Another Midnight Run”というシリーズもののテレビ映画を3本作りました(プロデュース)。前にこのメルマガでも取り上げましたね。邦題では「ミッドナイト・ラン1」「--2」「--3」となっています。こっちもなかなか面白いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です