Girl, Interrupted
1999年,アメリカ,127分
監督:ジェームズ・マンゴールド
原作:スザンナ・ケイセン
脚本:ジェームズ・マンゴールド、リサ・ルーマー、アンナ・ハミルトン=フェラン
撮影:ジャック・グリーン
音楽:マイケル・ダナ
出演:ウィノナ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリー、クレア・デュヴァル、ウーピー・ゴールドバーグ

 ハイスクールを卒業したばかりの少女スザンナは自殺未遂を図り、両親の勧めで精神療養施設クレイモーアに入院することになった。その病棟には若い女性を中心に様々な種類の患者が入院している。スザンナもその患者達と打ち解けたり反目したりしながら、自らの悩みと対面していく。
 実体験を元にスザンナ・ケイセンが書いた原作の映画化に際してウィノナ・ライダーが製作・主演を買って出た作品。女性版「カッコーの巣の上で」と言われてしまうのはいたし方がないところだが、この作品でアカデミー賞を受賞したアンジェリーナ・ジョリーの演技は確かに見応えあり。

 いい映画ではあるけれど、どうしても心のそこから同感は出来ない。特にスザンナには。むしろリサのほうに気持ちが行く。それはアンジェリーナ・ジョリーの演技が素晴らしいからだけではなく、そもそものキャラクター設定の問題なのだろう。入院を一つの経験として(嘘にまみれた)実社会に復帰していくスザンナは結局、それだけなのだ。それに対してリサはといえば、その(病院にまで及んでいる)嘘と無関心に対して徹底的に対抗しようとしている。「精神病もまた個性だ」とまではいわないけれど、精神病を病気として徹底的に押さえつけようとする60年代の精神治療に対して批判的態度を示さないと言うのがどうも引っかかった。
 まあしかし、『カッコーの巣の上で』を考えてみると、ジャック・ニコルソンに当たるのはここではリサなわけで、となるとこの映画もむしろリサ中心に見ていったほうがいいのかもしれないし、そうすれば映画全体がすっきりとしてくる。というような見方をすればかなりいい映画という感じです。
 ということなので、原作に忠実にスザンナを主人公にして描いてしまったところが最大の問題なのかもしれない。
 ウィノナ・ライダーも案外いい演技をしているに、結局のところ主役なのに逆にアンジェリーナ・ジョリーの引き立て役になってしまった。その役割を逆にしてみれば二人とも光を放ったのではないかと思う。

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