JSA: Joint Security Area
2000年,韓国,110分
監督:パク・チャヌク
原作:パク・サンヨン
脚本:キム・ヒョンソク、チョン・ソンサン、イ・ムヨン、パク・チャヌク
撮影:キム・ソンボク
音楽:キム・グァンソク
出演:ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、イ・ヨシエ、キム・テウ、シム・ハギュン

 1999年10月28日、38度線上、板門店の共同警備区域(JSA)の北側の監視小屋で起こった銃撃事件。この事件で二人の北朝鮮兵が死亡した。この事件の解明のため中立国監督委員会は韓国系スイス人将校ソフィーを捜査官として派遣した。彼女がたどり着いた真実は予想もしないものだった…
 韓国で「シュリ」の記録を塗り替える大ヒットとなったサスペンスドラマ。日本人から見ても「韓国らしい」映画に見えます。

 結局のところ朝鮮半島の関係というものが分かっていないものとしては、感心してしまいます。これはつまり韓国人の願望。こんな風になってそれこそ「民族統一」がなされればいいなぁという願望が作らせた映画ということでしょう。なので、中立国監督委員会というのもソフィーさんもほんのおまけにすぎず、おそらく1人美女が欲しかったというだけのことのような気がします。
 映画的な工夫という面では特段書くべきこともないので、ドラマに関することに終始したいと思います。
 さて、今韓国人の願望と書いたとおり、これは韓国人の願望でしかなく、北朝鮮人の願望ではない。北朝鮮の兵は南の文化に憧れを抱くけれど、南の兵士が来たの文化に憧れを描くことはない。結局「南」のほうがいいということを言っているに過ぎない気がします。おそらく北朝鮮で同じような映画を作ったとしたら、逆に「南」の兵士が「北」の文化やものにあこがれる様を描くでしょう。そのあたりがこの映画が「願望」にすぎないことを示しています。「願望」を超えて、統一の礎になることはありえないということ。つまり娯楽作品に過ぎないということ。
 で、娯楽作品として描くなら、ソフィーさんは要らなかったかもしれない、と思います。最初の銃弾がドアを貫通し、中の明かりが見えるシーンはなかなかよく、それだけでこの事件が何だったのかを解明する映画なのだろうと予想はつきます。それだったら、捜査などというまどろっこしい手続きをとらず、事件の全貌が明らかにならないまま時間を遡って、展開していって欲しかったななどとも思います。その方が緊迫感がますような気がします。

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