Journey of the Gray Men
2001年,イラン=日本,110分
監督:アミル・シャハブ・ラザヴィアン
出演:レザ・シャイクアームドカムセ、アーマド・ビグデリ、アリ・シャサワン
かつて人形劇の一座を組んでいた三人の男達。老境に達した彼らが再開し、再び人形劇をしながら旅をすることに決める。当時使っていたぼろ車を引っ張り出し、旅に出るのだが…
ドキュメンタリー風でありながら、決してドキュメンタリーではない不思議な雰囲気をかもし出すロードムーヴィー。
なんといっても不思議なのはこの映画の性格。ドキュメンタリー風の映像で作ったフィクション映画がはやっている昨今、しかしこの映画はどういったドキュメンタリー風のフィクションでもない。むしろそんなドキュメンタリー風フィクションをパロディ化したような作品。それもいかにもイランらしいやり方で。コンセプトとしては監督の父親の体験を素人の役者を使って再現したというものだが、なぜかそこに映画クルーが時々入り込んでくる。たとえば、老人がトラックの上で何かに熱狂している若者達とけんかになるシーン。すえつけられたカメラにフレームインしてきて、正面で止まり、そこでけんかになるのだが、それを止めにクルーが入っていく。このあまりに作り物じみた茶番劇。これがパロディではなくてなんなのか?
そして最後まで何が映画の中心なのかが見えないプロット。もちろん映画に中心なんてなくていいのだけれど、ここまで散漫なのも気になる。結局のところ監督自身の収拾のつかない心をそのまま表現してしまったという感じに見えるけれど、ここまで作り物じみていると逆にそのように見えるように作りこんだのではないかと深読みしてしまう。最後に登場するエピソードの真実性までも疑いたくなってくる。
その素直ではない感じがイラン映画のイメージとは相反してとても興味深い点となってもいるのですが。
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