Funny Face
1957年,アメリカ,103分
監督:スタンリー・ドーネン
脚本:レナード・ガーシュ
撮影:レイ・ジューン
音楽:ジョージ・ガーシュイン、アドルフ・ドイッチ
出演:フレッド・アステア、オードリー・ヘップバーン、ケイ・トムソン、ミシェル・オークレール、スージー・パーカー

女性ファッション雑誌の編集長マギーはファッションのテーマとしてピンクを選びこれが大ヒット、さらに次のテーマとして知的な演出を考え付く。その写真を撮るためカメラマンディックと秘書たちを連れて古ぼけた本屋に撮影に行く。ディックはそこのさえない店員ジョーも写真に収めた。後日彼はジョーをスターに仕立てようとマギーに提案して…

フレッド・アステアとオードリー・ヘップバーンの新旧スターが競演したミュージカル映画。フレッド・アステアはこのときすでに60歳近いが、見事なステップを見せる。オードリーの踊りもなかなかのもの。監督に『踊る大紐育』『雨に歌えば』などのスタンリー・ドーネン、音楽にはジョージ・ガーシュインでミュージカルオールスターという感じ。

いくらフレッド・アステアがいても、オードリーの魅力に尽きるわけです。確かに歌と踊りの場面ではフレッド・アステアのほうが何倍も輝いていて、とくにケイ・トムソンとのコンビ芸なんかは見ているだけで楽しくなってくるわけですが、それ以外の部分ではやはりこれはオードリーの映画。いくらオードリーの歌が眠くなってしまう代物でも(下手ということではなくて、歌い方に抑揚がないので眠くなる)、オードリーはオードリーだということなのです。

なので、逆にさえない本屋の店員という役回りからして不自然なわけですが、そのあたりは力技で持っていってしまう。ドレスを着て、メイクをして、すっかり変身! といっているけれど、あまり変身している気がしない。まあ、そんなことはいいわけですが。

私はあまりミュージカル映画というのはなじめないんですが、この映画はミュージカル映画というよりは要所要所に歌と踊りがちりばめられた映画という感じなので、それほど違和感なく見ることができました。ミュージカル映画に拒否反応を起こす人にはいいかもしれません。アステアの映画をもう少し見てみたい気になりました。

あと、この映画でいいのは美術ですね。最初のカラフルな扉から始まって、パリの街並みとか、ファッションショーの会場やら、本屋もそうですが、とてもいい。たぶんミュージカルの舞台から来ているんでしょうね。ミュージカル映画を撮る場合には歌って踊れるセットを組まなければならないので、きっと普通の映画とはセットの作り方が違うという気がするし。衣装もなかなか素敵だと思いますが、大部分がジバンシーのものだということらしい。アカデミー賞にもノミネート(美術監督・装置・衣装デザイン)されたらしい

ちょっとプロット的に無理があるのはやはりミュージカル映画ならではという感じでしょうか。特に共感主義っていうのとその教授って言うのがどうにもならない。もうちょっとましな生涯は思いつかなかったのか? という疑問がわいてしまいます。とくに教授のパーティーだか読書会だかなんだかわからない前ヒッピー見たいなあつまりとそこでの展開はアステアとケイ・トムソンのショー以外はまったく退屈で仕方がない。

ということなので、この映画は見所もたくさんあってかなり楽しいわけですが、ミュージカル映画に対するなじめなさは払拭されはしなかったのです。でも、楽しいからいい。

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