第二次大戦中のポーランド、ユダヤ人の少年エリックは金属を操る特集能力を持ち、それをナチスの将校セバスチャンに利用されてしまう。60年代、アルゼンチンに亡命したセバスチャンは特殊能力を持つものを集めて第三次世界大戦を起こそうと目論んでいた。一方、突然変異を研究するテレパスのチャールズ・エグゼビアはセバスチャンを阻止するためCIAに協力を求められる…
X-MENの面々をまとめるプロフェッサーXと宿敵マグニートの若き日にスポットを当てたスピンオフ作品。監督は『キック・アス』のマシュー・ヴォーン。

 X-MENシリーズといえば人間に味方するミュータントたちと人間と対立するミュータントたちが戦う話で、その2つの勢力はプロフェッサーXとマグニートに率いられている。どうしてその二人が対立するようになったのか、それを描いたのがこの作品。というわけなので、プロフェッサーXとマグニートの若いころの話はもちろん、本シリーズで活躍するミュータントたちの若いころも描かれる。シリーズの3本が作られたあと、ウルヴァリンの誕生の秘密を描いた『X-MEN ZERO』、そしてこの『First Class』と起源を描くスピンオフが2本続いたことになる。

という解説でこの映画はほとんど説明できる。シリーズが好きな人なら登場人物一人一人の過去を知ることが出来るというだけで満足できると思うし、好きというほどでなくともとりあえず全部見ているという人も気になる過去を知ることができるので面白く見ることが出来る。

もう一つストーリー的に面白いのは、彼らの過去が米ソ冷戦そしてキューバ危機と関わっていたという部分か。まあもちろん現実に起きたことではないのだけれど、実際のニュース映像なども交えながら描くことでまったくのファンタジーのはずのものを少し現実に近づけている。これは過去を舞台にしたからこそできたことだろう。

X-MENシリーズはどれもそうなのだけれど、興味がある人には面白いけれど、興味がない人にはちっとも面白くない、その傾向はこの作品でも変わらなかった。

ミスティークの変身シーンなど映像もそれなりにすごいし、アクションも見所はあるのだけど、それだけでお客さんを惹きつけるほどではやはりなく、単体で見るにはかなり物足りなさを感じる。

そう考えるともはやシリーズの新作を見るのは惰性なのではないかという気すらしてしまうのだけれど、ついつい見てしまう。その魅力の秘密はどこにあるのだろうかと考えると、やはりミュータントというキャラクターの造形のバリエーションなのではないか。だとすると、この作品では、そのミュータントたちがまだまだ未熟でそのバリエーションが少ないのが残念。将来どうなるかを知っていればそれを前提にして楽しむことができるが、それがないとつまらない。そう感じてしまうのは仕方が無いことだ。

つまり、時間軸を基準に考えると最初の作品ということになるが、この作品を最初に見たら面白く無い。なんだかそれはそれで不思議。まあでもやはり好きな人は限られるのかもしれないな…

2011年,アメリカ,131分
監督: マシュー・ヴォーン
原作: ブライアン・シンガー
脚本: ジェーン・ゴールドマン、マシュー・ヴォーン
撮影: ジョン・マシソン
音楽: ヘンリー・ジャックマン
出演: オリヴァー・プラット、ケヴィン・ベーコン、ジャニュアリー・ジョーンズ、チャールズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ローズ・バーン

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