ロシアの刑務所に収監されていたイーサン・ハントを脱獄避けるべく、IMFのチームが派遣される。何故か囚人のひとりを連れて出たものの脱出に成功したハントにくだされた司令は盗まれたロシアの核兵器の発射コードを取り戻すというものだったが…
『ミッション・インポッシブル』シリーズの第4弾は『Mr.インクレディブル』等のアニメを手がけるブラッド・バード。世界で最も高いビル“ブルジュ・ハイファ”でのスタントシーンが見所。

 このシリーズは元をたどればテレビシリーズの「スパイ大作戦」。1話1ミッションの単純明快な娯楽作品だった。コレが映画になってトム・クルーズという大スターが主役になっても、そのスタンスは変わらず、スケールはどでかくなったが単純明快な娯楽作品であることに変わりはない。

今回はといえば、要はテロリストとの戦いではあるが、IMFからの支援も切られ、いつもにもまして孤立無援の戦いを迫られるということでミッションがさらに困難になるという設定。そこに手ごわいライバルであり殺し屋も登場し、チームはちょっと頼りないメンバーで…ともりだくさんなので、とりあえずプロットの娯楽度だけでもかなり高い。

そこにいつものようなド派手なアクションが加わるわけだが、まず見所はといえば世界一高いビル“ブルジュ・ハイファ”の外壁を上るというスタントシーン、スタントマンを使うことを嫌うトム・クルーズはこのシーンも自ら演じたという。もうひとつは終盤の立体駐車場での対決シーン、構造が複雑なだけに先の展開が読みにくく、目の離せないシーンになった。

とにかくアタマを空っぽにして楽しむことが出来る映画。監督のブラッド・バードは『Mr.インクレディブル』などのアニメの監督で実写の作品はこれがはじめてということだが、映画を構築するという点ではアニメも実写も変わらないはずなので、娯楽作品を撮ると言う点について言えばキャリアは十分な監督といえるはずだ。むしろ最初から生身の人間の出来る範囲という限界を設定しない分、アクションの幅が広がったというのがあるかもしれないとも思った。

トム・クルーズは「大スター」だけれど、出る作品は軽いというか、圧倒的にエンターテインメントで外連味がないところがいいと改めて思う。もうすぐ50歳になる(!)そうだけれど、まだまだこういう娯楽大作で活躍して欲しいし、実際そうなるのだろう。

はっきり言っていわゆるハリウッド大作というのにあまり興味はないけれど、たまにこういう本当に何も考えなくていい作品を見るのは楽しいし、スッキリする。本当に何も考えなくていい作品を作るというのも実は結構大変な作業で緻密な計算が必要なわけで、その部分ではやはりハリウッドが積み重ねてきたものというのは偉大なんだなどということもちょっと頭をよぎったりした。

2011年,アメリカ,132分
監督: ブラッド・バード
原作: ブルース・ゲラー
脚本: アンドレ・ネメック、クリストファー・マッカリー、ジョシュ・アッペルバウム
撮影: ロバート・エルスウィット
音楽: マイケル・ジアッキノ
出演: サイモン・ペッグ、ジェレミー・レナー、トム・クルーズ、ポーラ・パットン、ミカエル・ニクヴィスト

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