人気レーサーのライトニング・マックィーンがラジエーター・スプリングスに帰ってきて、親友のおんぼろレッカー車メーターは大喜び。しかし、テレビで挑戦状をたたきつけられ今度はワールドグランプリに参加することに。日本で行われる大会にメーターもついていくことが出来る聞き、大喜びするのだが…
ディズニー/ピクサーの大ヒットアニメ『カーズ』の続編。相変わらずCGが素晴らしい。
ピクサーのアニメの中でもこの『カーズ』シリーズのCGは素晴らしいと思う。主人公が車で、しかもレースカーなので、スピード感にあふれるシーンが多くなるわけだけれど、そのスピードの表現が秀逸なところに惹かれるのではないだろうか。
映画というメディアにとってスピード感を表現するというのは実は非常に難しい。現実の生活の中でスピード感を感じる時というのは、例えば速い乗り物に乗って風景が後ろにどんどん過ぎ去って行く時とか、それほど速くなくても生身で乗り物に乗って風を感じる時だったりする。それを映画という平面のスクリーンと音だけのメディアで再現するのは実に難しい。実写でも走っている車から風景を撮しただけではスピード感を感じることはできないし、同様に走っている車と並走して撮影してみても実際のスピード感には遠く及ばないものしか表現できない。
むかし何かで読んだところによると、走っている人を速く見せるには移動撮影じゃなくてパン撮影(カメラは移動せずに振るだけ)をしたほうがいいのだという。何の映画化忘れたけれど、その映画ではスピード感を表現するために円形のコースを役者に走らせて、その中心にカメラを据えてパン撮影をしたらしい。
それで何が言いたいかというと、映画で何かを表現したいときには、それをありのままに再現して撮影すればいいというわけではないということ。時速100キロの車に乗ってる感覚を表現するには実際に100キロで走る車にカメラを載せて撮影すればいいというわけではなく、もっと工夫をしなければいけないということ。そして、映画というメディアはそれを実現する方法論を蓄積してきているということだ。
この『カーズ』が素晴らしいのはその方法論を見事にCGアニメに移植して、アニメであるにもかかわらずリアルに感じられる表現を実現しているというところにあるというわけ。
ストーリーとか日本が舞台になっていることとか、車マニアにはたまらないであろう細部とか、パフュームが挿入歌に使われているとか、いろいろ書けることはある気がするけれど、その辺はまあ普通に面白いアニメという範囲を出るわけではないように思える。
そんなことより、とにかくこのアニメーションのスピード感というものを感じて欲しい。ジブリの作品もスピード感をリアルに感じることができるけれど、それとはまた別の表現方法だというのも面白いし、こういう細部のリアリティに映画の面白さは宿るのだということを感じることができたというのが一番よかった点だったというわけ。
というわけで、まあ面白いですよ。いかにも子供っぽいアニメという感じがするけど、すごく精密に作りこまれていていいですよ。
2011年,アメリカ,113分
監督: ジョン・ラセター
原作: ジョン・ラセター、ブラッド・ルイス
脚本: ベン・クイーン
音楽: マイケル・ジアッキノ
出演: オーウェン・ウィルソン、ジョン・タートゥーロ、ボニー・ハント、マイケル・ケイン、ラリー・ザ・ケイブル・ガイ
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