コミュニティ・ラジオのDJを勤めるシングルマザーのダリア。伝統的なハーブ研究者である母親に仕事を手伝って欲しいと言われ手伝うようになる。しかし、母におかしな言動が目立つようになり始め、病院に行くとアルツハイマーだと告げられる。ダリアは戸惑いながらも母の世話と仕事の手伝いを続けるが…
認知症にあった母と娘を描いたヒューマンドラマ。あまりハーブという題材が生かされていないような…

 最初は色々なハーブが登場し、聞いたこともないようなハーブが各章のはじめにも登場するので、さまざまなハーブが物語を展開していくのかとおもいきや、そういうわけでもない。コミュニティ・ラジオのDJを勤める娘が認知症にかかった母親の看病をするというそれだけの話。まあ、それまで母親のハーブについての研究を省みることがなかった娘が、認知症にかかった母に頼まれて仕事の手伝いをするうちに徐々にその世界に触れていくというのはあるけれど、それはそれだけのことで、娘が自らさらなる研究を進めて認知症に効果がある薬草を見つけようとかいうことをするわけでもない。

結局のところ、この映画に描かれているのはアルツハイマーのことだけといっていい。コミュニティ・ラジオの思想的な部分や、恋愛模様や、娘のことにも触れられはするけれど、結局それは枝葉末節であって物語に影響をおよぼすわけではない。

ならば、そのアルツハイマーをめぐる物語が特別感動的であったり、独特の展開をしたりするのかといえばそうでもなく、それぞれの心理が繊細に描かれているわけでもない。薬草といういわば神秘的な題材が使われており、しかも時折メキシコというかラテンアメリカ特有の非現実的な出来事もちらりと現れるので、それをもっと使っていけばよさそうなものなのだけれどそれもない。

いろいろユニークな映画のような外見はしていながらも見てみたらごくごく普通の、しかも出来も平凡な映画。メキシコの風土やメキシコ人の民族性みたいなものはかいま見えるけれど、それ以外には特に見所はないかなという感じ。

2010年,メキシコ,120分
監督: マリア・ノバロ
脚本: マリア・ノバロ
撮影: ヘラルド・バロッソ
出演: アナ・オフェリア・ムルギアン、ウルスラ・プルネダ、オフェリア・メディーナ、コスモ・ゴンサレス・ムニョス

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です