Down by Law
1986年,アメリカ=西ドイツ,107分
監督:ジム・ジャームッシュ
脚本:ジム・ジャームッシュ
撮影:ロビー・ミューラー
音楽:ジョン・ルーリー
出演:トム・ウェイツ、ジョン・ルーリー、ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、エレン・バーキン

 同じように仲間にはめられ、OPP刑務所で同じ房となったジャックとザックはいつとも知れぬ釈放の日を待ちわびていた。そこに不思議なイタリア人ロベルトが入ってくる。二人はロベルトに翻弄され、脱獄するはめに……
 ジャームッシュらしく淡々とした物語の中に奇妙なユーモアが混じり、独特の世界を作り出す。

 この映画の特徴は、映画のテンポが大きく動くということ。序盤、ジャックとザックがつかまる前はぽんぽんとテンポよくすすみ、刑務所に入ったとたん、時間の経過は単調になる。それはもちろん壁に刻まれた黒い線(正の字とは言わないだろうけど)に象徴的に表される。ただただ出所を待つだけの単調な毎日、そして再びそれがテンポアップするのはロベルトがやってくるところだ。彼の刑務所には似合わない破天荒な行動が再び時間に活気を与える。
 この、時間の経過のテンポの変化というのはジャームッシュ作品に特徴的なものだ。多くの場合は、そのテンポはカットの切り方や真っ白な画面(カットとカットのあいだに白い何もないカットをはさんで間をとる)でとられるのだが、このジャームッシュ独特のリズムの取り方というのがジャームッシュ作品に引き込まれてしまう最大の要因なのではないかとこの映画を見て思った。

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