The Brave
1997年,アメリカ,123分
監督:ジョニー・デップ
原作:グレゴリー・マクドナルド
脚本:ポール・マッカドン、ジョニー・デップ、D.P.デップ
撮影:ヴィルコ・フィラチ
音楽:イギー・ポップ
出演:ジョニー・デップ、エルピディア・カリーロ、マーシャル・ベル、フレデリック・フォレスト、マーロン・ブランド、イギー・ポップ

 家族のために仕事を探していたネイティブの男がバーで知り合った男に紹介された仕事はスナッフ・ムービー(実際に人を殺す映画)への出演だった。家族のために彼は出演を決意し、最後に与えられた一週間を過ごしに家に帰るのだが…
 ジョニー・デップの監督・脚本作はネイティブへの差別を描いた社会派ヒューマンドラマ。アメリカに根強く残る差別構造を描いているのだが、果たしてうまく描ききれているのか?
 マーロン・ブランドが特別出演、『クライ・ベイビー』で競演したイギー・ポップが音楽を担当、カメラは『アリゾナ・ドリーム』のヴィルコ・フィラチと周りはしっかりと固められている。

 ネイティブを描こうとしている割にはネイティブの登場人物が少ない。メディスンマンっぽい爺さんが出てくる以外は、アフリカ系神父が出てきて、ルイスというヒスパニック系のチンピラが出てくるくらい。社会の最下層の間に区別はないとでもいおうとしているのか?そのわりにはネイティブのスピリチュアルな儀式をやって見たり、どうにもまとまりが悪い。狙いがわかりにくい。
 スナッフ・ムーヴィーという発想はなかなか面白いのに、それがあまり活かされていないような気もする。
 遊園地でカメラをパンしてゆくとジョニー・デップが次々違う乗り物に乗っているところや、水に潜って次のシーンでは岸に座っているところなど工夫しようという意思は感じられるが、果たしてそれに効果があるのかというと、それは疑問。簡潔な感想で言ってしまえば、俳優に専念しなよ!という感じでした。
 多用されている「間」も、やはりジャームッシュやクストリッツァの「間」とは明らかに違う退屈な「間」になってしまっている。しかし、この「間」はもしかしたら面白くなる要素なのかもしれないと思いました。このリズムになじめば、映像がすっと心に染み込んでくるような、そんな「間」。それを少し感じたのはラリーの隠れ家の場面、入り口から上にカメラが移動していく「間」。これはなかなか難しいところ。
 ええ、さすがに俳優としてのジョニー・デップはなかなかよかった。ちょっとネイティブという設定は無理があったとしても、歩き方とか背中がいいね。ジョニー・デップは。Database参照

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