Traning Day
2001年,アメリカ,122分
監督:アントワーン・フークア
脚本:デヴィッド・エアー
撮影:マウロ・フィオーレ
音楽:マーク・シンシーナ
出演:デンゼル・ワシントン、イーサン・ホーク、スコット・グレン、エヴァ・メンデス

 麻薬捜査課に転任して初出勤の日の朝、ジェイクはチームのリーダーであるアロンソにダイナーに呼び出された。とっつきにくそうなそのベテラン刑事は犯罪者たちが恐れる伝説的な刑事だった。彼の型破りなやり方に最初は戸惑い、反発するジェイクだったが、徐々に彼には逆らえないことに気づいていくのだった…
 デンゼル・ワシントンが強烈なキャラクターでアカデミー主演男優賞を獲得。主演二人の演技なくしては持たない映画だったことは確かだろう。

 アロンソが繰り返し言うジェイクの「目」。その「目」がすばらしかったというわけではないけれど、そのようにアロンソが言った後、ジェイクの目をしっかりとアップで捉えるその描き方は役者の演技にすべてをゆだねているということだろう。イーサン・ホークがそのような「目」を演じることができるという確信。そのような確信を持たなければ、そこに素直なアップを持ってくることはできないはずだ。
 同様にデンゼル・ワシントンにもセリフ以外のことを語らせる。ジェイクが踏み込んだそのベットルームで見せるアロンソの無表情な顔。その全く感情のこもっていない冷静な無表情さをデンゼル・ワシントンが演じられるからこそそこには無表情が存在する。その無表情さの奥に秘められたアロンソの作戦をその表情からわからせられると確信したからこそ、その場面は全く無表情に進められるのだろう。
 果たしてその監督の確信は半ば正しかった。そのような控えめな演出で役者は生き、映画は救われた。これがもしCGゴテゴテのマトリックス風の映画だったならばとても見れるものではなかっただろう。ましてやアカデミー賞など…という感じ。
 結局のところ、デンゼル・ワシントン自身はいつもと変わらぬ好演をしていて、それを強調する演出をする監督にめぐり合えたということでしょう。ある意味ではこの監督はソダーバーグのような、役者のいいとこ引き出し型の監督であると思います。
 最大の問題点は脚本でしょうか。前半はなかなか面白いのですが、物語が転換したあたりからはぐずぐずずるずるの偶然に頼ったつじつま合わせのやわなスリラーになってしまう。メッセージ性も特にない。脚本がよければ作品賞も夢じゃなかった?
 そういえば、ブラックミュージック界の大物たちがたくさん出ていました。一番目だったのはメイシー・グレイですが、他にもドクター・ドレイとスヌープ・ドッグが出ています。ブラックミュージック好きの人は探して楽しみましょう。

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