The Whole Nine Yards
2001年,アメリカ,99分
監督:ジョナサン・リン
脚本:ミッチェル・カプナー
撮影:デヴィッド・フランコ
音楽:ランディ・エデルマン
出演:ブルース・ウィリス、マシュー・ペリー、ロザンナ・アークエット、マイケル・クラーク・ダンカン

 歯科医のオズの隣に一人の男が引っ越してきた。なんだか見たことがあると思ったオズはすぐにその男が17人もの人を殺し、マフィアのボスを売って短い刑期で出てきた名高い殺し屋ジミー・チュデスキだということに気付く。そしてオズは、折り合いのよくない妻のソフィアに半ば脅されるようにシカゴにジミーを密告にいくはめに…
 ブルース・ウィリスと『フレンズ』のマシュー・ペリー共演のサスペンスコメディ。物語の転がり方が面白く、なかなか楽しく見ることができる。監督はヒット作はないものの地味にコメディを採り続けている監督ジョナサン・リン。

 サスペンス・コメディというジャンルはどうかと思いますが、この映画は間違いなくサスペンス・コメディで、なかなかうまくいっている。ひとつは脚本のうまさで、サスペンスの展開として重要な出来事をうまく笑いに結び付けている。ネタはばらせませんが、オズのアシスタントのジルが・・・だったというのはなかなかうまい展開と舌を巻きました。
 あとは、キャスティングのうまさでしょうか。『フレンズ』のマシュー・ペリーはもちろん、ジル役のアマンダ・ピートも『ジャック&ジル』というコメディに出ていて(こっちでの役名はジャックなので、多分意識している)、少なくともアメリカ人にとっては喜劇役者として一応知られている人たちなわけです。ブルース・ウィリスも今はムキムキマッチョ君になってしまいましたが、もとはといえば、『こちらブルームーン探偵社』でとぼけた役をやっていたわけで、それを考えると、これは喜劇役者を集めてサスペンスをとってみた映画。ということなのかもしれません。
 だからなんとなく全体的にサスペンスの「間」ではなくて、コメディの「間」になっている。もちろん監督がコメディ畑の監督だというのもあるんでしょうけれど。しかし、だからといって笑えるかといえば、別に笑えるわけでもなく、はらはらするかといえばそれほどはらはらするわけでもなく、中途半端といってしまえばそれまでの作品ですが、わたしはこういう根本的にうそっぽいドラマは大好きです。ここまで明るく人を殺せる人はなかなかいないね。
 好みは分かれるところかとは思いますが、いろいろ辻褄が合っていないと、落ち着かない人は見ないほうがいいと思います。テキトーなことが好きな人は結構つぼにはまるかと思います。

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