Harry Potter and the Sorcerer’s Stone
2001年,アメリカ,152分
監督:クリス・コロンバス
原作:J・K・ローリング
脚本:スティーヴン・クローヴス
撮影:ジョン・シール
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、リチャード・ハリス、マギー・スミス、アラン・リックマン、イアン・ハート

額に傷を持つ赤ん坊のハリー・ポッターは魔法使いによって伯母夫婦に預けられ、その家で冷遇されて育てられていた。ハリーが11歳になろうというとき、ハリーのところにふくろうから次々と届くようになるが伯父はそれをハリーに読ませようとしない。しかし、11歳の誕生日の日、ついに魔法学校からの使者が現れ、ハリーを魔法学校へ連れて行く…

原作が世界中でベストセラーとなった「ハリー・ポッター」シリーズの第1作目の映画化。映画としても世界中で大ヒット、小説も次々と続編が書かれ、映画も次々と作られるはずのファンタジー巨編。

ものすごい観客を集めた映画にありがちな酷評があちこちで聞かれますが、私はそれほど悪い映画ではないと思います。原作をまったく読んでいなかったこともあって、物語の導入部分などはかなり興味深く見ることができました。魔法使いの世界という一つのパラレルワールドを作って、そこで物語を展開させるという方法は非常に巧妙でいくらでも面白く出来る要素がある。紀元前300年だったか創業の杖屋なんていう小ネタも自由自在。動物や植物だっていくらでも創造することが出来る。この自由さがファンタジーにとっては非常に重要なのです。

なので、長いシリーズの1作目としてはまずまずの出来なのではないかと思います。ただ、ちょっと長すぎますね。特にクライマックスに至る前の30分から1時間くらいはぎゅっと凝縮して映画を短くするか、映画には盛り込めなかった原作のエピソードをもう1つ2つ入れるかして濃度を高めたほうが飽きることなく見れるようになった気がします。

というのが全体的な感想で、第2作も2本立てかビデオかで見ようかなという感じです。

さて、この映画を見て最初に感じたのは『スター・ウォーズ』っぽいなということ。映画全体としてもちょっとそんな感じはしますが、主に話がそれっぽい。細かく何処がどうと言ってしまうとこじつけっぽくなってしまいますが、親が死んで親戚に育てられる設定とか、なぞの敵がいるとか、力を得るために教えを受けるとか、そういうところですね。これはある意味では冒険ファンタジーものの王道といえるストーリー展開なのかもしれません。だから万人に受け入れられる。『スター・ウォーズ』ファンには怒られるかもしれませんが、なんだか似てるなぁという印象は最後まで変わりませんでした。音楽もジョン・ウィリアムズだしね。主人公が運命で定められた英雄だというのも。

もちろん『ハリー・ポッター』のほうが子供だましっぽさが付きまとうし、出てくるキャラクターや物はほとんどが今まであったものばかりで創造性という点ではかけるのですが…

その点で言えば、同時期に公開された『ロード・オブ・ザ・リング』と比べても見劣りする。しかし、やはり『ロード…』の世界観は万人受けするものではなく、そのあたりでヒットするかどうかが別れてしまったのかもしれないという気がします。原作とのかかわりも『ハリー…』のほうがうまい感じですね。原作を読んでいれば、おそらく映画に出てきた呪文とか道具なんかのことがよくわかる。魔法学校の教科書まで発売されているのだから、はまればどんどんはまっていける。そのあたりは原作者ももうなくなってしまって、かなりマニア感が高くなってしまっているい『ロード…』とは違うのでしょう。

ヒット作にはそれなりの理由があり、映画としての出来がそれほどよくなくても人を惹きつけられるんだといういい見本だと思います。

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