シールドの秘密施設で四次元キューブの研究中、アスガルドの神ロキが現れ研究員を操って四次元キューブが奪われてしまう。この危機にシールズの長官ニック・フューリーはアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ハルクといったスーパーヒーローを招集、ロキを囚え四次元キューブを取り戻そうと試みるが…
マーベル・コミックのヒーローたちを集めたドリームチーム「アベンジャーズ」を実写映画化。実際にこれまで単独作品として公開された『アイアンマン』『キャプテン・アメリカ』『マイティ・ソー』のキャストが結集した。

 マーベル・コミックと言えば『スパイダーマン』『スーパーマン』『X-MEN』などなどヒット作が数多くあるが、そこまでメジャーではないという作品も数多くあり、この『アベンジャーズ』はそういうそこまでメジャーではない(けれどそこそこ有名な)ヒーローを集めたという作品。日本でも仮面ライダーやウルトラマンのシリーズではシリーズに登場するヒーローが勢揃いした作品があったりもするし、マンガ/アニメの世界でも、松本零士作品などは別の作品の登場人物が交わり合うことが多々ある。

私は、こういう作品というのは基本的にマニア心をくすぐるものであり、一般受けはしないものではないかと思っていたのだけれど、この作品のアメリカでのヒットを見ると、意外とそうでもないのか、あるいはそれだけマーベルというのがアメリカでかなり広い層に受け入れられているのかもしれない。実際見てみると、それぞれのヒーローのバックグラウンドを知っていたほうが楽しめると感じたので、マーベルというのはアメリカではかなり受け入れられているのだろう。コミック本はそれほどメジャーではないかもしれないけれど、これだけ映画化されているわけだから、多くの人が知っているものなのだろう。

そして、実際見てみてみると、やはりこういうオールスターものというのは面白いと感じた。「ヒーローもの」とひとくくりにしてしまうと、紋切り型のストーリーで勧善懲悪というイメージがあり、まあ実際そうなのだけれど、こうやって一つの映画の中に併存させてみると、それぞれのヒーローの個性というのが際立ってくる。特に、『アイアンマン』などはそれ単体で見たときはそれほど面白いとは思えなかったのだけれど、この作品の中にいると非常に魅力的なキャラクターに見えた。

そのアイアンマンを始めとした魅力的なキャラクターがそれぞれ活躍し、しかもスピード感のある展開と迫力のあるCGがあるので、かなり長い作品だが飽きることなく見ることが出来たし、それぞれのヒーローのバックグラウンドを特に知っていなくてもわからないということはないし、楽しめもするだろう。

ただ『マイティ・ソー』を見ていないと、ソーとロキの関係や彼らと地球との関係が(多少説明はされるけれど)理解できないと思うので、物語としての面白さは半減してしまう気がする。しかも、残念ながら『マイティ・ソー』は日本ではそれほどヒットしなかったので、この作品の受けもアメリカと比べると日本ではいまいちだったのではないかと想像する。

しかし、こういう作品の良い点は、ここからまた立ち返ってオリジナルの作品を見てみようという気にさせることだ。この作品を見て興味を覚えたキャラクターのオリジナルのストーリーを改めて見てみる、そのような動機付けには十分になる作品だろう。

おそらくこの『アベンジャーズ』にも続編ができて、マーベルの映画は作られ続けるだろう。昔は日本ではあまり受けなかったと思うのだが、最近は日本でもヒット作に多く名を連ねるようになった。その理由の一つは技術の進歩によってコミックという非現実的な世界がリアリティを持って表現できるようになったことにあると思う。だからこの映画には「これが映画だ」というキャッチコピーがつけられ、日本でもそれが受け入れられた。

私は、まさしくこれが今のハリウッド映画なのだと思う。もちろん昔ながらの作品もたくさん作られているけれど、ハリウッドの「今」はここにある。それがハリウッドの進化なのか退化なのかはわからないけれど、まあ面白いからこれでいいのかなと素朴に思う。

DATA
2012年,アメリカ,144分
監督: ジョス・ウェドン
原作: ザック・ペン、ジョス・ウェドン
脚本: ジョス・ウェドン
撮影: シーマス・マッガーヴェイ
音楽: アラン・シルヴェストリ
出演: グウィネス・パルトロウ、クリス・エヴァンス、クリス・ヘムズワース、サミュエル・L・ジャクソン、ジェレミー・レナー、スカーレット・ヨハンソン、トム・ヒドルストン、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jr

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