ゲイもののコメディは当たりが多い。この作品も普通に面白い。
I Now Pronounce You Chuck & Larry
2007年,アメリカ,115分
監督:デニス・デューガン
脚本:バリー・ファナロ、アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー
撮影:ディーン・セムラー
音楽:ルパート・グレグソン=ウィリアムズ
出演:アダム・サンドラー、ケヴィン・ジェームズ、ジェシカ・ビール、スティーヴ・ブシェミ、ダン・エイクロイド
NYの消防署に勤めるチャックとラリーは親友同士、妻を亡くして子供ふたりを抱えるラリーは年金の受取人を子供に変更するのを忘れていて、手続きに時間がかかるといわれて途方にくれる。そんな折、火事現場でラリーがチャックをすくい、何でもいうことを聞くというチャックに対し、ラリーは年金受け取りのため偽装同性結婚をしてくれと言い出す…
アダム・サンドラー主演のコメディ。スティーヴ・ブシェミにダン・エイクロイドという豪華キャストでなかなか。
親友を助けるためにパートナーシップ法を利用して偽装同性婚をしたラリーだったが、偽装ではないかと疑う調査員が派遣されたことで、本当に芸らしく振舞わなければならなくなり、さらに相談した美人弁護士に芸の権利のためのパーティーに参加してくれといわれ、そこで新聞記事になってしまうという展開。
同時にラリーはその美人弁護士アレックスに惚れてしまい、アレックスのほうはラリーがゲイだということで心を許す。チャックのほうは死から3年経っても妻のことが忘れられず、息子がミュージカル好きなのが悩み。
なんかどっかで聞いたような話ではあるが、コメディとしてはなかなかよく練られたプロット。
チャックが入院したときに子供たちが母親が病院で死んだことを思い出して不安に襲われるエピソードを挿入して、チャックの焦燥感をあおるというもって行き方などはなかなか気が利いている。さらにアメリカ人のホモホビアの感情をうまく利用し、消防士というマッチョでもちろんゲイに偏見を持っているチャックに「ゲイも同じ人間なんだ」といわせるという展開はゲイものの王道とも言える展開だ。
コメディとドラマをうまく融合させたこのプロットのよさも脚本家の列を見れば納得。『アバウト・シュミット』や『サイドウェイ』のアレクサンダー・ペインとジム・テイラーのコンビが名を連ねている。
笑いの部分ではカナダの結婚式場のアジア系の神父?のところが面白かった。まさにサタデー・ナイト・ライブ的な笑いでアダム・サンドラーの十八番というところか。ゲイがらみの下ネタのほうはあまり笑えなかったが、チャックとラリーがゲイっぽく見える買い物をしているシーンはなかなか面白かった。
アダム・サンドラーは日本での受けはあまりよくなく、この作品もあっさりとDVDスルーになってしまった。まあ確かに劇場で見るほどではないという気はするが、私は嫌いじゃない。最近ではジャド・アパトー・ファミリーと組んだ『エージェント・ゾーハン』もDVDスルー。監督はこの作品と同じデニス・デューガン、これもなかなか面白そうじゃないか。一方、同年の作品でもディズニー製作の『ベッドタイム・ストーリー』は劇場公開(2009年3月)。私なんかはこの作品はどう見ても面白そうには見えないのだが… 面白そうな映画と日本で受け入れられる映画は違うんだね。
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