I’m so-so
1995年,デンマーク=ポーランド,56分
監督:クリストフ・ヴィエジュビツキ
撮影:ヤシェク・ペテリツキ
音楽:ジュビニエフ・プレイスネル
出演:クシシュトフ・キエシロフスキー

 「トリコロール」や「デカ・ローグ」などの作品を残し、1996年になくなった映画監督キエシロフスキー。「トリコロール」を最後に監督を辞めてしまった彼の姿を、ながらく彼の仕事上のアシスタントをしてきたヴィエジュビツキがカメラに収めた。彼はこの映画が撮られてから1年もたたずに亡くなってしまったが、フレームの中のキエシロフスキーは生き生きとして朗らかだ。
 日本で見られる機会はなかなかないかと思います。

 ドキュメンタリーとしては非常にオーソドックスな作品。それもそのはず。これは劇場公開用の映画として撮られたのではなく、デンマークのテレビ用に撮影されたいわゆるテレビ・ドキュメンタリー。なので、インタビューをメインに、作品を紹介しつつ、現在のキエシロフスキーについて語っていくというスタイル。
 なので、この映画の眼目は彼の哲学と彼がこれからしようとしていることにあるといっていい。全体を通していえることはキエシロフスキーは映画監督は語るべきものではなく、映画が語るべきだということを言っていると思う。質問に答え、映画が語らんとしていることを話して入るけれど、彼が強調するのは常に「解釈の余地」ということだ。いろいろな可能性を映画に盛り込んで、解釈は観客に任せるというスタンス。それがキエシロフスキーが自分の過去の作品について言っているすべてだといっても過言ではないだろう。
 という感じでのドキュメンタリーですが、私が一番思ったのはキエシロフスキーってなんて横顔がかっこいいんだろうということ。正面から映っているとそうでもない(といっては失礼か)のですが、映画の後半で部屋に座って、固定カメラで映している場面があって、その横顔がすごくかっこいい。大きめの鼻がでんと座っていて、りりしい顔立ち。

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