ロスト・ソウルズ

Lost Souls
2000年,アメリカ,98分
監督:ヤヌス・カミンスキー
脚本:ピアーズ・ガードナー
撮影:マウロ・フィオーレ
出演:ウィノナ・ライダー、ベン・チャップリン、ジョン・ハート、フィリップ・ベイカー・ホール

 教会の施設で暮らすアンは助手として神父の悪魔払いの儀式についていく。彼女も以前、悪魔払いをされて経験があった。その悪魔払いの場から持ち出した暗号文を解くアンはそこに隠された「ケルソン」という名前に気がつく。
 ウィノナ・ライダー主演のオカルト・ホラー。監督のヤヌス・カミンスキーはスピルバーグ作品のカメラマンとして活躍してきたカメラマンで、監督はこの作品がはじめて。プロデューサーにはメグ・ライアンも名を連ねるという不思議な作品。

 まったく期待せずに見た割には、なかなかいい作品。しかしかなり地味なのでオカルトファンやホラーファンはうけつけないでしょう。そして、あくまでオカルト映画なので、普通の映画好きはうけつけないでしょう。
 という事なので、ヒットする要因もなく、あまり面白いという人もいないだろうと予想される作品ですが、私は「なかなか」と思いました。
 それはなぜか? なんといっても物語がありきたりであり、意外性がない。これはホラー映画にとって致命的であるように見えますが、実際のところホラー映画の眼目は謎解きにはない。こういうと乱暴ですが、ホラー映画は怖ければいい。それがこの映画の眼目であるわけです。しかしさらにこの映画の凄いところは怖くない。というところ。ストーリーに意外性もなく、怖くもないホラー映画っていったい…
 と書くと「なかなか」というのが皮肉に聞こえてきますが、そうではなくて、この映画はある意味で見る側の裏をかいている。当然予想されるべき意外な展開や恐怖という期待を裏切る凄さ。にもかかわらず物語り展開とかかわりのないところで単純に観客を「驚かせる」。怖がらせるのではなくて驚かせる。
 これは凄いんじゃないの… とふっと思ったりしたわけです。
 かなり説得力がないと思うので、もうひとついい点を上げればやはりそれは映像。この映画はシネスコですが、オカルト映画なので画面の大半が暗く、画面の一部が殺されている映像が多いのです。これが構図として面白い場合がたまにあります。

鬼教師ミセス・ティングル

Teaching Mrs.Tingle
1999年,アメリカ,96分
監督:ケヴィン・ウィリアムソン
脚本:ケヴィン・ウィリアムソン
撮影:イエジー・ジェリンスキー
音楽:ジョン・フリッセル
出演:ケイティ・ホームズ、ヘレン・ミレン、バリー・ワトソン、マリサ・コグラン

 優等生のリー・アンは卒業生壮大になって奨学金をもらわなければ大学へ行き、小説家になるという母親との夢がかなわない。そこに立ちはだかるのは歴史の鬼教師ミセス・ティングル。リー・アンは自信作の課題を持って歴史の授業に臨むのだが…
 「スクリーム」の脚本家ケヴィン・ウィリアムソンがはじめて監督した風変わりな青春スリラー。ホラー畑の人なので映画の作りはホラーだが、内容はちょっと違うなかなか風変わりなバカ映画。

 好きですよ私は、こういうバカ映画。映画としては忠実にホラー映画の作法に従っておきながら、内容としてはなんて事のない青春映画。
 しかし全てのよさはあくまでもホラー映画の作法に従ったというところ。キャラクター設定しかり、撮り方しかり。
!!注意!!
 ちょっとネタばれ目になっていくので、これから見ようという人は読まないでね。
!!!!!!
 やはり悪者は一貫して悪者であるのがホラー映画の作法。途中から改心していい人になってしまっては成り立たない。そんなヒューマンドラマはいらない。 悪者に襲われるヒロインの視界を中心にあらゆるところを映して恐怖心をあおるのがホラー映画の作法。前から後ろから横から物陰まですっかり映して緊張感を高めていく。
 最後の屋敷での心理戦は完全にホラー映画として描ききった。そのあたりの徹底したところがこの映画のバカさ加減を助長していい。ここでいうバカさ加減というのはもちろん誉め言葉ですが、これだけばかばかしいことを真面目に撮るというのは非常にいい。
 個人的には「スクリーム」は中途半端で気に入らないけれど、こっちの映画は徹底していて好きなのです。狙いすましたB級映画という感じです。ぜひ、ミセス・ティングルには他の学校に転勤してもらって、次なる生徒をいじめて欲しい。今回の教訓を生かしてね。

狂っちゃいないぜ

Pushing Tin
1999年,アメリカ,124分
監督:マイク・ニューウェル
脚本:グレン・チャールズ、レス・チャールズ
撮影:ゲイル・タッターサル
音楽:アン・ダッドリー
出演:ジョン・キューザック、ビリー・ボブ・ソーントン、ケイト・ブランシェット、アンジェリーナ・ジョリー

 ニューヨークの航空管制官ニックは、自他共に認めるナンバー1の管制官。過度のストレスがかかり、セラピストにかかる同僚も多い職場だが、そんなこともなんのそのいつも仲間と楽しくやり、妻と最中睦まじく暮らしていた。しかし、ある日その職場にやってきたラッセルは変人だが腕は凄いという評判の男だった…
 航空管制官というなかなか目に付かないところをクローズアップして描いたドラマ。特に可もなく不可もなくという感じ。

 航空管制官というのはいいところに目をつけたのかもしれない。航空管制官を描いた映画は以前に何か一本見たことがあって、題名は忘れてしまい、この映画を見ながら、内容がごっちゃになってしまったけれど、とにかくあまり頻繁に映画に取り上げられるようなものではないわけで、そういう意味では未知のものに対する好奇心というのがある程度映画に対する興味をもひきつける要因にはなる。
 しかし、この映画は結局のところ管制官の心理を掘り下げていくわけではなく、夫婦関係と仕事というものに還元していってしまうので、逆に物語が進むに連れて興味をそがれてしまう。果たしてニューヨークにこんな古きよきアメリカ的な職場が存在するのか、という疑問も感じるし、一人一人に人物に深さがない。
 掘り下げようと思えば掘り下げるところは結構ありそうなのに、それをするりと逃してしまい、通り一辺倒の物語にしてしまったところが最大の問題なのではないでしょうか。
 全てが惜しい作品ですが、ただ一つよかったのは飛行機が行き交うところ。冒頭のクレジットが出るところからかなり飛行機が飛び交い、かなり気持ちいい。これは映画全体にいえて、空中を飛行機が何台も飛んでいるというシーンは他では見たことがないくらいリアルで、緊張感があった。それは結構見る価値のある映像かも。

X-MEN

X-men
2000年,アメリカ,104分
監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー、ジョス・ウェドン
撮影:トム・シーゲル
音楽:マイケル・ケイメン
出演:パトリック・スチュワート、イアン・マッケラン、ファムケ・ヤンセン、ジェームズ・マースデン、アンナ・パキン

 第2次大戦中のポーランド、鉄の門を念力で曲げるユダヤ人少年がいた。時は下って、世界中に相当の数のミュータントが存在するようになった世の中、アメリカ上院は、ミュータントの脅威を払拭すべく、ミュータントの登録制度を法制化しようとしていた…
 アメリカの大人気コミックの映画化。もともとのコミックが面白いので、見応えは十分。CGもかなりの頑張り。子供の心で見てあげましょう。

 なんだか、世間的には賛否両論、しかし否の方が多いかな、というくらいの評判ですが、こいつはいいよ。何にも考えていなくて。本当のところ、人種差別がどうとかいう話なんだろうけれど、そんなことはどうでもよく、ただただ闘うミュータント。それがいい。そのほうが逆にその背景にある問題もふっと心にとどまることもあるような気もする。
 何かがすごいというわけでもないけれど、設定としてなんでもありという状況は逆に映画として作りにくい。全知全能の神がいたら、すべては解決してしまって映画として面白くないわけです。だからミュータントも何でもできたら困るので、設定としてそういうスーパーマンなミュータントは出てこない。みんな何か一点だけにすぐれている。そのあたりの設定勝ちというところでしょう。まあ、これはコミックでの蓄積がものを言ったというところですが、それをうまく映画に載せたブライアン・シンガーの腕前もなかなかかも。
 ということで、何はともあれ次が見たい。絶対に2ができると思いますが公開されたら見に行くでしょう。きっと、次のほうが面白そうだし… と思ってしまうのはなぜなのか?

 それにしてもやはり、アメリカのコミックもので、子供とか若者向けに作られているこういう作品はちょっとちゃちい。ミュータントの設定事態はいいんだけれど、全体的なつじつまとか、心理的な動きとか、そういったものがあまりに単純で、世界を単純に割り切りすぎている気がしてしまう。子供には複雑な心理の動きなんか和歌欄だろうという発想で作っているのだろうけれど、ひねた見方をする大人より、むしろ子供にこそ複雑なものを見せなきゃいけないと私は思います。できれば、複雑に作られているんだけれど、単純に見えるもの。そのようなものがいいと思います。

 で、2はやはりできていて、まだ見に行っていませんが、映画館に行くほどではないような気もしてきました。2本立てになったら見に行こうかな…

ショコラ

Chocolate
2000年,アメリカ,121分
監督:ラッセ・ハルストロム
原作:ジョアン・ハリス
脚本:ロバート・ネルソン・ジェイコブス
撮影:ロジャー・プラット
音楽:レイチェル・ポートマン
出演:ジュリエット・ビノシュ、ヴィクトワール・ティヴィソル、ジョニー・デップ、レナ・オリン、ジュディ・デンチ、キャリー=アン・モス

 フランスの山間のとある村、古くからの伝統に根付き、厳しいしきたりの中で人々が暮らす村。そこにやってきた母娘は、断食期間中にチョコレートショップを開く。チョコレートは村人たちをひきつけるが、しきたりと尊重のレノ伯爵がそれを阻止する。
 ラッセ・ハルストロムはやはりこういうやさしいお話しを撮る。ちょっとファンタジックで、気持ちひねりの聞いた心地よい映画。

 全体としてはとても普通です。物語はすごくうまく出来ていて、ゆったりとしていながら先の展開へスムーズにつながり、なぞとして残っていたものを解き明かしてゆく。おじいちゃんのお話しというのもそうだし、誰ともわからないナレーションもそうだし、陶器の入れ物が「おかあさん」であるというのもそう。
 そんな素直な物語にアクセントとなっているのは、クロースアップの映像で、特にチョコレートと口元のクロースアップは、やはりチョコレートの映画であるだけに非常に効果的で、かつすごくおいしそう。見終わってチョコレートが食べたくなってしまうのはいたし方がないところ。後は、ジプシー調の音楽もリズムを加えるという点ではいいでしょう。
 ということですが、つまりは中の上ということですか。押しなべて並以上。ハルストロムの映画はおしなべてそうですが、この作品もそういう感じです。ただ、女優陣の演技はすごくいい。ジュディ・デンチがうまいのは当たり前ですが、ジュリエット・ビノシュってこんなにうまかったかしら? アカデミー賞にもノミネートされるわけね。

セブン・チャンス

Seven Chances
1925年,アメリカ,60分
監督:バスター・キートン
原作:ロイ・クーパー・メグルー
脚本:ジーン・ハーベッツ、クライド・ブラックマン、ジョゼフ・ミッチェル
撮影:バイロン・ホーク、エルジン・リーズリー
出演:バスター・キートン、ロイ・バーンズ、ルス・ドワイヤー、ジーン・アーサー

 愛する人になかなか告白ができない破産寸前の青年実業家ジミーのところにある日、見知らぬ弁護士が。ジミーは裁判所からの呼び出しと思い避けていたが、それは実は700万ドルの遺産を与えるという遺言だった。しかし、条件は27歳の誕生日の午後7時までに結婚すること。そして、その誕生日というのは…
 バスター・キートンが最も旺盛に作品を送り出していた20年代の作品の一つ。キートンの代表作の一つに上げられるスラップスティックコメディ。ひたすら人間の力を使ったアナログな力技がすごい。

 やはりバスター・キートンなんだからこれくらいベタなギャグで行ってくれないとね。という感想がまず出てくる、とにかくべたべたべたべたなギャグ連発。最初の犬が異様にに早くでかくなるところからかなりのものだが、実際のところ前半はまだまだ助走という感じで、後半に入って一気にスピードアップ。7000人もの花嫁はとにかく圧巻で、これだけの人が同時に動くとかなり映像的にも力強い。おっかけっこというのはスラップスティックコメディの定番だけれど、1対7000となると、なかなかないでしょう。
 個人的には、終盤の岩のところのほうが好き。これぞキートン、俺は今バスター・キートンを見てるぞという気分を満喫できる場面。岩は明らかに張りぼてだけれど、やはりキートンの動きはものすごい。本当に一人の人が動いているだけでこれだけ長い時間見せて、笑わせてしまえる映画が100年の間にどれだけ作られただろうか?コミカルさをあおる音楽や、岩の落ちる効果音や、主人公の嘆息がつけ加えられた今の映画にこれだけの表現力があるのか? と思わずにいられない。

スター・ウォーズ/ジェダイの復讐

Return of the Jedi : special edition
1983年,アメリカ,137分
監督:リチャード・マーカンド
脚本:ジョージ・ルーカス
撮影:アラン・ヒューム
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、アンソニー・ダニエルズ

 ハン・ソロを救うためジャバ・ザ・ハットの宮殿に向かったルークは見事救出に成功。ヨーダに会うためダゴバに向かうが、ヨーダはルークにジェダイの称号を与え、秘密を明らかにして息を引き取る。一方帝国は新たなデス・スターを完成させつつあった。
 スター・ウォーズとりあえずの完結編をこれまた最新技術でリマスター。しかし、もとの製作が83年なので、前2作と比べるとそれほど変わったところは目立たなかった。

 なんとなく、前作からのつなぎと、とりあえずの〆ということを果たさなければならないことで映画の大半が使われてしまった観がある。当時はかなりすごかった森での空中バイクのチェイスシーンも今見るとそれほどすごくもない(そりゃ、エピソード1に比べりゃね)し、ちょっとしつこい。スター・ウォーズは基本的にしつこい。1シーンが長い。と思うのは、何度もみて内容がわかっているからだろうけれど、やはり何度みても興奮冷め遣らぬくらいでなくては名作とはいえないわけで、その辺りがちょっと…
 そこで考えたのは、第2部再編集版をつくって! ということです。3作をまとめて再編集して、3時間くらいにまとめてくれ! ということです。やってくれないだろうな…
 もう一つ考えたのは、エピソード7を撮るときに、ハリソン・フォードやマーク・ハミルもちょうどよく歳をとっているね。ということ。

生きるべきか死ぬべきか

To be or Not to be
1942年,アメリカ,99分
監督:エルンスト・ルビッチ
脚本:エドウィン・ジャスタス・メイヤー
撮影:ルドルフ・マテ
音楽:ウェルナー・ハイマン
出演:キャロル・ロンハード、ジャック・ベニー、ロバート・スタック、ライオネル・アトウィル

 第二次大戦前夜のワルシャワ、街にヒトラーが現れた。それは実は、ヒトラーとナチスを描いた舞台を上映しようとしていた劇団の俳優だったが、ナチスによってその公演は中止に、そして戦争がはじまる…
 エルンスト・ルビッチが大戦中にナチスをおちょくるような映画を撮った。なんといってもプロットのつなぎ方が素晴らしい。コメディといってしまうのはもったい最高のコメディ映画。

 まず、出来事があって、その謎を解く。ひとつのプロットの進め方としてはオーソドックスなものではあるけれど、それを2つの芝居と戦争というものを巧みに絡めることで非常にスピーディーで展開力のある物語にする。そんな魅力的な前半から後半は一気に先へ先へと物語が突き進む先の見えない物語へと変わる。そのストーリー展開はまさに圧巻。
 そしてこれが大戦中にとられたということに驚く。当時のハリウッドにはそれほどの勢いがあった。ヒトラーが何ぼのもんじゃ!という感じ。しかし、一応コメディという形をとることで、少々表現を和らげたのかもしれない。ストレートに「打倒ヒトラー!」というよりは、やわらかい。しかしその実は逆に辛辣。戦争が終わり、ナチスを批判する映画はたくさん作られ、歯に衣着せぬ言葉が吐き出され、数々の俳優がヒトラーを演じたけれど、この作品とチャップリンの「独裁者」とをみていると、どれもかすんで見えてくる。「シンドラーのリスト」はヒトラーを直接的に描かないで成功したけれども、そこにはどう描こうとも決して越えられない2つの映画が存在していたのではないか?
 そんなことを考えながら、60年前の名作を見ていました。やっぱルビッチってすごいな。ちなみに、主演のキャロル・ロンハードはこの作品が最後の出演となっています。きれいなひとだ…

スター・ウォーズ

Star Wars : Special Edition
1977年,アメリカ,129分
監督:ジョージ・ルーカス
脚本:ジョージ・ルーカス
撮影:ギルバート・テイラー
音楽:ジョン・ウィリアムス
出演:マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、アレック・ギネス

 反乱軍のリーダー、レイア姫の乗る船がダース・ベイダーの率いる帝国の船に捕らえられる。あえなく捕虜となってしまったレイア姫だったが、ロボットR2D2とC3POにメッセージを託して宇宙空間に送り出した。その2体のロボットは砂漠の惑星で、ルーク・スカイウォーカーに出会う…
 1977年の公開から20周年を記念して作られた特別編は画質・音質がアップした上に、細部に様々なデジタル処理が施されている。
 「スター・ウォーズ」を見たことがないという人がいたら、ひとにばれる前にこっそり見ておいたほうがいいですよ。

 スター・ウォーズの物語について今さらあれこれ言うことはしません。ほとんど覚えているので、誰かと見ているといつのまにか次のシーン当てクイズみたいになってしまう。
 この特別編は細かい画像処理だけではなく、オリジナルにはいなかった要素が結構付け加えられているらしく、私の記憶が正しければ、オリジナルでは登場していなかったジャバ・ザ・ハットがでてくる。ついでにハン・ソロと絡んでいる。ここはいまひとつオリジナルを覚えてないですが、ジャバ・ザ・ハットがオールCGなのは明らかで、逆にその周囲のアナログさかげんがよくわかる。ほかにも、CGキャラクターがそこここに加えられている。
 で、全体的にどうなのかというと、オリジナルのほうが好き。特別編もILMの技術力の高さは感じるし、それによって臨場感がますような部分もあるのだけれど、そこは、天下のジョージ・ルーカスとILM。やるならもっと徹底してやって欲しかったという気持ち。宇宙船内が明らかにちゃちいとか、デススターの表面が明らかに模型とか、その辺りまですべてリマスターしてエピソード1と同じレベルまで持ってきて欲しい。それができないというのなら、今見るとすべてが少々古臭くってもオリジナルのほうを選びます。

スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス

Star Wars : Episode 1 – The Phantom Menace
1999年,アメリカ,133分
監督:ジョージ・ルーカス
脚本:ジョージ・ルーカス
撮影:デヴィッド・タッターサル
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:リーアム・ニーソン、ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ジェイク・ロイド、テレンス・スタンプ、サミュエル・L・ジャクソン

 「スター・ウォーズ」の時代からさかのぼること30年。共和国から通商連合の調査のためにナブーへと派遣された二人のジェダイの騎士はその裏に惑星ナブーを占領しようという陰謀があるを知る。それを共和国政府に伝えるため、女王を救い出したのだが…
 後にダース・ベイダーとなるアナキン・スカイウォーカーの少年時代、帝国が出現する以前の時代を描いた。CGを駆使して戦闘シーンからキャラクターまで非常に精密な映像を作り出した。

 やはり、ILMの特撮技術はすごく、どこからがCGなのかなかなか判断がつきにくいくらいではある。特にポッドレースのシーンがなんといっても秀逸。それに、なかなか地味なところではシールドというのがあって、CGというのは半透明なものを表現するのがすごく難しいらしく、その技術が開発されたのがようやく数年前だったらしい(映画でいうと、たしか「アンツ」だったか「バグズ・ライフ」が本格的にCGの半透明表現を取り入れたものだったはず)ので、これだけきれいにそれを表現するのは想像を絶する難しさだったはずです。
 しかし、映画としてはやはりシリーズの第一作という感じで、全体がプロローグっぽく作られているのが不満。これからどうなるかに期待をもたせるには十分だけれど、1つの物語としてはちょっとね。
 だがしかし、面白いことは面白い。それもすべては映像のおかげというしかないけれど、特撮の辺りは置いておいても、色彩の使い方や画面構成はやはり秀逸。美術班が優秀なのでしょうこの映画は。そこは絶対にはずさないところが「スター・ウォーズ」のすごいところなわけです。