真夜中のサバナ
Midnight in the Garden of Good and Evil
1997年,アメリカ,155分
監督:クリント・イーストウッド
原作:ジョン・ベレント
脚本:ジョン・リー・ハンコック
撮影:ジャック・N・グリーン
音楽:レニー・ニーハウス
出演:ジョン・キューザック、ケヴィン・スペイシー、ジャック・トンプソン、ジュード・ロウ、アリソン・イーストウッド
アメリカ南部の小さな町サバナで骨董商を営むジム・ウィリアムズの家で開かれるクリスマスパーティーは町の一大イベントだった。これを取材に来た記者のジョン・ケルソーが順調に取材を終えたその夜、ジムが殺人罪で逮捕されるという事件が起きた。ジョンはその事件の取材を続けるためにサバナに残ることにするのだが…
実際にあった事件を描いたベストセラー・ノンフィクションをクリント・イーストウッドが映画化。特に映画に登場するさまざまな変わった人々の存在が魅力的。むしろ物語の重点はその住人たちにあるといったほうがいい。
監督としても評価の高いイーストウッドだが、出演せずに監督に徹した作品はまだこれが二作目(1988年の「バード」以来)。
クリント・イーストウッドは監督としても(と、言うよりは最近は監督としてのほうが)才能があることは疑いがない。もちろん「許されざる者」で監督賞を撮ったくらいだから、何をいまさらという感じだが、いま一つ俳優出身という観念に縛られて認めたくないところがあった。しかし、監督作品をいくつも見ていると、非常に丁寧でストレートな映画を作る優秀な監督だということがわかってきた。とくに、「画」で語ることが非常にうまい。それはつまり、(多くの場合は無言の)カットをつないでいくことによって、セリフによって説明するよりも効果的な「語り」をやっているということ。この映画での法廷のシーンは特にそれが顕著に表れていた。法廷という発言が制限されている場でも登場人物たちに「語らせる」ことが自然にできているというところに監督の力量を感じた。